カツラ(桂)

別名 
科属 カツラ科カツラ属
学名 Cercidiphyllum japonicum

生活型
落葉高木
葉の分類
対生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯あり
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形


11.10.06神代植物公園

樹木解説

高さは35mになる。樹皮は暗灰褐色で縦に割れ目ができ薄くはがれる。葉は対生し、長さ3-8cmの広卵形で、基部は浅い心形。裏面は粉白色を帯び、ふちには波状の細かい鋸歯がある。葉柄は2-2.5cmで帯紅色。4月、葉が出る前に咲く。雌雄異株。花には花弁もがくもなく基部は2-4個の苞に包まれている。雄花には多数の雄しべがあり、葯は長さ3-4mmの線形で紅色。雌花には3-5個の雌しべがあり柱頭は糸状で淡紅色。果実は袋果で長さ1.3-1.5cmのやや反り返った円柱形で、帯紫黒色に熟して裂け、先端に翼のある種子を多数出す。

08.10.29五反田

08.10.29五反田

10.04.03筑波植物園雌花

11.04.10森林公園

11.04.10森林公園

10.04.03筑波植物園雄花

11.04.10森林公園

11.04.10森林公園

補足

<薄焼き煎餅の木>東京フォーラム前で初めてこの木を見たとき(もちろんそのときは名前は知らなかったが)、薄焼き煎餅を2枚ずつ揃えて付けたような葉がサラサラと風にそよぎ、非常にさわやかな印象を受けた。葉は香りがよく葉を乾燥させて粉末にし抹香が作られる。樹木で対生(葉が対につく)か互生(葉が交互につく)は非常に重要な同定(生物の分類学上の所属・名称を明らかにすること)要素だが、あるときカツラと思って近づくと対生でもあり互生でもある枝がありさて混乱した。本で調べると「基本的に対生、ときに互生となる」あ~あ、これだから難しい。

小説の木々

四方をコンクリートと硝子の建物に囲まれ、陽光も水も乏しい。なのに高く伸びて、多摩丘陵を渡る風に梢の揺れる日もある。朝夕、私の心の慰めだった。幹に比べて枝がとても細く、姿が端正だ。ほぼ円形の葉が仲良く対になり、同じ間隔で並んでいる。春、葉の出る前に小さな紅色の花をつける。芽を吹くころは幼い葉も赤みを帯び、清楚ながら、なまめかしい。(「木々を渡る風」小塩節)