樹木解説
高さは10mほどになる。葉は枝先に集まって互生し、長さ15-20cmの広倒披針形から狭倒卵形で革質。11-12月、枝先に芳香のある白い花を密に開く。花弁は5個。葉裏、花柄、苞、萼に褐色の綿毛を密生する。果実は翌年6月頃に黄褐色に熟す。
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小説の木々
季節はやはり今と同じ十二月のことだった。境内を囲んだ山茶花の生け垣は花ざかりで、拝殿の隣りに植えられた枇杷の木も、白い花をひっそり咲かせていた。(「私がいないクリスマス」加藤元)
開け放した縁側に古びた座布団が置かれている。玄関脇の枇杷の大木が緑陰を広げ、腰を下ろすと涼しい風が吹き抜けて心地よい。さきほどの女の母親か、姑か、腰の曲がったかなり高齢の女がお茶をいれ、大きな梨と小ぶりの包丁をたずさえて現れた。(「冬の光」篠田節子)
強い風が吹いて、窓ガラスを激しく揺らした。窓へ視線を向ければ、厚い雲で覆われた灰色の空が広がっている。その端の方で、大きな影がもさもさと揺れていた。一瞬びくりとして、しかしすぐにそれが木の葉であることを思いだす。この家の裏庭には、三階の窓にゆうに届くほど背の高い枇杷の木があるのだ。(「うつくしが丘の不幸の家」町田そのこ)
ミツバチが鼻先をかすめて山の方へ飛んでいく。あたたかな冬の日射しを浴びながら、ビワの白い花が咲いていた。脚立の向こう、日だまりの枯れ草まじりの緑の上で仰向けに幸吉が倒れていた。まるで眠ってでもいるように。その右手には、ビワの枝を引き寄せるための、先が鉤状になった木の枝でつくった道具がしっかりと握られていた、ビワの白い花が咲いていた。(「海が見える家・逆風」はらだみずき)