樹木解説
高さは0.5~1mくらい、時に4mになる。葉は互生し小形で厚い。春葉は長倒卵形、夏葉は楕円形。4~5月に枝先に赤色の花を2~3個開く。花冠は漏斗状鐘形で5裂し、上弁に濃紅色の斑点がある。雄しべは5個。
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小説の木々
父が指定したのは、大きなツツジの木の前だった。堂々たる存在感の古木で、深紅の花が見事なまでに全体を覆い尽くしている。「キリシマツツジだ。樹齢三百年の株を、最近ここに植樹したそうだ」咲和子は、体が震える思いだった。「キリシマツツジー能登のツツジだね。ああ、懐かしい」子供のころの、夢のような光景を思い出す。(「いのちの停車場」南杏子)
この辺りは坂道が多いだけに、境内の西側は小高い斜面を呈している。山というより丘に近く、丘の南半分は、立夏の頃になると霧島躑躅が咲きほこる。御府内でも随一と称される、躑躅の名所だった。しかし、丘の北半分は、お堂がいくつか点在するだけの寂しい場所だ。(「心淋し川」西條奈加)