メタセコイヤ

別名 アケボノスギ
科属 スギ科メタセコイヤ属
学名 Metasequoia glyptostroboides

生活型
落葉高木
葉の分類
対生、単葉、針葉
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

08.10.30ふじみ野

樹木解説

高さは35m、直径2.5mになる。樹皮は赤褐色で縦に裂ける。枝は葉は対生し、小枝は秋に葉とともに落ちる。2-3月頃開花する。雄花序は黄褐色で長く垂れ下がる。雌花は緑色。球果は長さ2-2.5cmの卵状球形で10月頃成熟して褐色になる。種子は倒卵形で幅の広い翼がある。

08.10.30ふじみ野樹皮はスギに似て縦に細長くはがれる

08.10.30ふじみ野葉は羽状に対生する

16.11.10小石川植物園黄葉するメタセコイヤ、レンガ色になった葉とともに側生する小枝も散り散りに落ちる

09.04.16五反田

09.10.31宇都宮

15.03.30森林公園

17.12.16小石川植物園

10.12.2小石川植物園

補足

<化石の木>1939年日本で落葉樹の植物化石が発見され、発見者の三木博士により『メタセコイア』と命名され学会へ発表された。当初「化石」として発見されたために絶滅した種とされていたが、1945年に中国四川省の「水杉(スイサ)」が同種とされ、現存することが確認されたことから「生きている化石」と呼ばれる。これ程意味深い樹木であるが、実はこの木は今では公園等の特定の場所だけではなく宇都宮のゴルフ場にもふじみ野市の市役所にもあり、案外よく目にする。単に気づくか気づかないかの違いのようである。東宇都宮ゴルフ場では左ラインのメタセコイヤ並木にOBを2本続けて打ち込んだ。青空にすくっと立つ紅葉の時期は特に美しい。

小説の木々

まだ、ハイスクールの学生で、さんさんとふりそそぐ南カルフォルニアの陽光をはね返すような溌剌とした生気に満ち、豪壮な邸宅にももの怯じすることなく、テラスから三つの椅子をメタセコイヤの大きな木陰に移動させ、父親の弁当を広げて、チャーリーにも勧めてくれた。それは日頃、チャーリーが軽蔑していた日の丸弁当で、広島菜の漬物が添えてあった。(「二つの祖国」山崎豊子)

彼女の指の先には、深い橙色に染まったクリスマスツリーのような高い木が立っていた。石神井公園にはたくさんの種類の木がある。理子が指差したのは、いつも目にしていたけれど、あまり気にしたことがない木だった。絵本の背景にこっそり描かれていそうなくらい、ありきたりなシルエットをしている。しばらく見つめていると、いつか、高校生だったミアが、あの木を愛おしそうに見上げていたのを思い出した。・・・視界の端を、鮮やかな赤が過った。赤いハナミズキの実が、プラネタリウムでも見る星のように点在していた。絵具で塗ったような色の木の実を見ながら、次に秋の妖精に会ったら、なんて言ってやろうかと考えた「着いたよ」と、ミアが言う。目の前に、オレンジ色のクリスマスツリーのような木があった。少し遅れて、これがメタセコイヤだってことに気づいた。(「雪には雪のなりたい白さがある/メタセコイヤを探して」瀬那和章)

警備員はそう言って、目的地までの道順を説明し、首から下げるタイプの入館証を手渡した。門から建物の入り口まで続く、メタセコイヤの巨木の並木がつくる影が、わずかに救いに感じられた。・・・三年ぶりに訪れた国立疾病管理センターの外観はほとんど変わっていなかった。武井を二人で通った、メタセコイヤの並木が朝日の影を造っている。(「赤い砂」伊岡瞬)