イチイ(一位)

別名 オンコ、アララギ
科属 イチイ科イチイ属
学名 Taxus cusidata

性状
常緑高木
葉の分類
互生、単葉、針葉、線形、鋸歯なし
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

12.09.20神代植物公園

樹木解説

大きいものは高さ20m、直径2mになる。樹皮は赤褐色で縦に浅く裂ける。葉は長さ1.5-2.5cmの線形で、らせん状につくが横に伸びた枝では左右に2列に並ぶ。3-4月、葉の付け根に花がつく。雌雄異株。雄花は淡黄色で9-10個の雄しべが球状に集まる。雌花は緑色で、9-10月に熟すと肉質の赤い仮種皮が種子を覆うが、先端は開いている。

12.04.21多摩自然科学園

14.05.06東京都薬用植物園

10.01.10小石川植物園

10.10.03秩父

補足

<オンコの木>
 出羽三山・山寺へ行ったときの写真を見て、川越のTさんからメールを頂いた。「山寺の樹齢500年のキャラボクの実ですが、これは松の木、見たいな、ちいさな木ですか。北海道ではオンコの松の木で赤い実と似ているのですが赤くてヌルっとしていませんか?よく食べましたがオンコの木写真貼付しておきますが、見て下さい。」山寺の樹木札には「伽羅木 樹齢約500年、キャラ、オンコとも呼ぶ」と書かれている。
 調べてみると、オンコはイチイ(一位)の別名(アイヌ語)で、キャラボクはイチイの変種。
※イチイ(一位、櫟、学名Taxus cuspidata)は、イチイ科イチイ属の植物。またはイチイ属の植物の総称。 常緑針葉樹。別名をアララギ。北海道や北東北ではアイヌ語由来のオンコと呼ばれる。(Wikipedia)
※イチイの変種として、キャラボク(伽羅木 Taxus cuspidata var. nana)がある。 常緑低木で高さは50cm~2m、 幹は直立せずに斜に立つ。根元から多くの枝が分かれて横に大きく広がる。 雌雄異株で、花は春(3~5月)に咲き、雌木は秋(9~10月)になると赤い実をつけ、味はわずかに甘い。
 イチイとキャラボクの最大の違いは、キャラボクはイチイのように葉が2列に並ばず、不規則に螺旋状に並ぶ点である。キャラボクはイチイ(オンコ)によく似ているということです。紅い実はそっくりです。
Tさんより、「ともかく、小さいころから爺さん、婆さんにオンコとしか聞かされていなく、良く実を食べていたことを思い出しました。先日も北海道に行きまして、まだ、若いコンコの木でありますが(60年位)の木ですが実家で、久しぶりに見てきました。高さが約3メータ幅が2メータくらいで、葉を三段に手入れされていましたよ。何せ、木は奧が深いですね、草花と違い、木の天辺を見たくてもみれない事が多いですね。」
<クリスマスツリー>
 軽井沢に行った平塚のSさんから、こんな質問を頂いた。「クリスマスツリーみたいで、モミのようで、クリスマスツリーの飾りのように赤い実がなる木は何?」
 これはまず間違いなくイチイ。銀座中央通りの街路樹になっている。ただし、赤い実のつき方はそれぞれ個体差があるからどれだけつくか分かりませんが。

小説の木々

街が華やいで見えるのは、きっとオンコの実が色づいたせいだ。街路樹の赤で、見違えるように通りが明るい。山中の実家で暮らしていた頃は、道端のオンコやコクワ、ヤマブドウが熟すのを待って、学校の行き帰りに一粒ずつ口に入れて歩いた。・・・街ではオンコをイチイと呼ぶのだと思い出した。(「羊と鋼の森」宮下奈都)