クスノキ(楠)

別名 
科属 クスノキ科クスノキ属
学名 Cinnamomum camphora

性状
常緑高木
葉の分類
互生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯なし
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形


14.05.08川口グリーンセンター

樹木解説

高さは普通20mくらい、ときに高さ55m、直径8mに達する巨木となる。樹皮は暗褐色で短冊状に縦に裂ける。葉は互生し、長さ5-12cmの卵形または楕円形で先はとがり基部は広いくさび形。ふちは全縁で、3脈が目立つ。5-6月、葉のつけ根から円錐花序をだし、黄白色で直径約5mmの花を多数付ける。花被片は6個で内側に毛がある。雄しべは12個で3個ずつ輪状につき、内側の3個は退化して仮雄しべになる。雌しべは1個。果実は直径8-9mmの球形で10-11月黒く熟す。

12.03.27新宿御苑

09.11.07品川

12.03.27新宿御苑

14.05.08東川口

14.05.08東川口

09.11.04浜松町

11.05.18小石川植物園

19.05.15東川口

樹名:クスノキ
学名:Cinnamomum camphora ‘Red Monroe’
特徴:常緑高木、鮮やかな濃い赤芽の選抜品種

15.04.06花と緑の振興センター

15.04.06花と緑の振興センター

15.04.06花と緑の振興センター

小説の木々

裏庭に戻ったのは、ちょうど稜線の向こうに日が沈む頃で、三上の家にはひっそりと灯がともっていた。手前にたちはだかるくすの木は、ひと足早く闇が訪れたように黒々と影法師になっている。あらためて間近にすると、異様とも思えるほどの大きさだ。苔をびっしり生やした根もと近くの直径は二メートルを越えるだろう。地面から浮き出た太い根は、巨大な生き物がのたうつ姿を想像させ、ところどころに肉塊を思わせるこぶをつくっていた。まっすぐに伸びた幹は四方に枝を張り巡らせながら、地上から十数メートルのあたりで両手を広げるように枝分かれしている。巨樹の梢は幾重にも交錯し、上まで見通すことができない。日が落ちてしまったいまは、なおさらだった。葉は空を覆いつくすほど繁り、強まってきた風にざわめいて、びょうびょうと陰気な音を立てている。なぜか目をそむけることができなくて、私は風に揺れる繁り葉を見つめ続けていた。(「押入れのちよ」荻原浩)

石鳥居をくぐって、神社の境内に入ってみた。手術の無事成功を祈って、お詣りをしていこうと考えたのだ。右手に手水舎、左手に社務所があって、石を敷き詰めた参道が奥へと続いている。瓦葺きの入母屋屋根の拝殿と本殿を備えた、由緒ありげなお社である。拝殿と社務所のあいだには、注連縄を張られた樟の古木がそびえていた。厨子を外に据えつけたような小さな拝殿ひとつに、手入れが届かずのび放題の枇杷の木一本という猫石さまとは、だいぶ様子が違っている。(「私がいないクリスマス」加藤元)
庁舎の敷地に植えられたクスノキの葉が、白く輝いている。窓の外は、夏の強い日差しが降り注ぎ、目映いほどに明るい。対照的に、面接室のなかは暗く沈んでいた。・・・窓の外を見た。クスノキの葉が揺れていた。目に映る緑の葉は、はじめて友里と会った日にみたものよりも輝いて見えた。(「あしたの君へ」柚月裕子)