樹木解説
高さは5-15mになる。樹皮は帯褐色で鱗片状にはがれる。葉は長さ3-10cmの卵状楕円形で、先はするどくとがる。裏面は有毛で、主脈の基部に褐色の毛の塊がある。3月頃、葉に先立ち枝一面に散形花序をつけ、黄色の小さな花を20-30個密に開く。花序の基部に総苞片が4個ある。花弁と雄しべは4個。果実は長さ1.5cmの楕円形で赤く熟す。
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小説の木々
吹き降りが屋根を激しく叩き、中空をくぐもった陰気な音が走っている。暮れかけた空が、一瞬、黄金色に割れた。春雷である。淳蔵は稲妻につと目を上げた。裏の家の塀から張り出したサンシュユの枝が揺れ、小さな庭に、黄色い花びらを散らせていた。・・・淳蔵は窓辺に寄った。散ったサンシュユの花びらが、蝶の死骸のように見えた。(「愛の領分」藤田宜永)