樹木解説
高さ5~12m、直径15~30cmになる。樹皮は縦に走るひび割れが多数発生する。葉縁は全縁でまれに上部に鋸歯が見られる。葉の表は濃緑色、葉形は卵状長楕円、葉身は7~17cmくらい。樹皮に細かいひび割れがある。
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小説の木々
せいちゃーん、とどこかで誠一を呼ぶ声がする。せいちゃーん、出てこいよお、もうおわったっぺ、と幾つもの幼い声が重なる。どこいるんだよお、と心配する声もある。我に返り、転がるように蔵を出た。柿の木の下、みんなの笑顔が迎えてくれた。あの中に泰助はいたのか。貧しい小作人の倅は、自分の名を読んだのか。(「彷徨う刑事」永瀬隼介)
「あの前庭の柿の木。あれに傷をつけへんように注意してください。ちょっとしたことで枝がおれるから」チーフはヘルメットの庇をちょいと上げ、柿の木を眺めた。「ああ、随分古い木ですね。まだ実はなるんですか?」「ええ。毎年、律義に実を付けてくれてね」去年は裏年だったので、今年はきっと表年だ。柿の実がびっしりと輝くところを想像すると、今から楽しみになる。(「銀花の蔵」遠田潤子)
すっかり葉を落とした柿の木が、群青の夜空を罅割っていた。月光をたたえた慈恩院の大屋根の向こうに、内陸の盆地の渇れた田畑が、一片の翳りもなく広がっていた。(「母の待つ里」浅田次郎)