樹木解説
葉は長さ7-13cmの卵円形または広楕円形で、ふちには小さい円形の鋸歯がある。3-4月、直径3-4cmの淡紅色の花が咲く。花弁は5個で、ときに八重のものもある。果実は直径約3cmで表面に細い絨毛があり、黄色く熟す。ホンアンズに類似するが、葉や果実はやや小さい。
10.03.04昭和記念公園 |
09.04.09小石川植物園 |
12.06.30東京都薬用植物園 |
10.03.18上福岡 |
09.05.30上福岡 |
11.03.25東京都薬用植物園 |
11.03.25東京都薬用植物園 |
11.03.25東京都薬用植物園 |
小説の木々
窓から弱い風が入り、ふうわりと、甘い匂いがした。がたがたと上にガラス戸を持ち上げる方式の、外国映画のなかでしか見たことのない窓だ。どうやって固定するのか、妙な興味が湧いて近づく。外の空気を吸いたかったのかもしれない。見おろすと、こんもりと樹木の茂った裏庭が見えた。何本かの木は、いっぱいに白い花をつけている。甘い匂いはそこからくるのだろうか。・・・こんなところで泣くわけにはいかない。第一、それは一体何に対する涙なのか。「桜ですか?」岸部の声がした。いつのまにか、すぐ隣にやってきていた。「はい?ああ、いいえ、杏です。今年は花が遅くて」口髭が窓の外を見てこたえる。桜?私は人の好い岸部に、無性に腹がたった。わざわざいまここで、無教養をさらすことはないではないか。(「抱擁、あるいはライスには塩を(上)」江國香織)