ガジュマル(榕樹)

別名
科属 クワ科イチジク属
学名 Ficus microcarpa/Ficus retusa

性状
常緑高木
葉の分類
互生、単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯なし
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

09.06.07神代植物園

樹木解説

大きいものは高さ20mになる。葉は長さ4-10cmの長楕円形または倒卵形で全縁。革質で表面は緑色で光沢があり、裏面は淡緑色で主脈が隆起する。5月頃、葉腋に倒卵状球形で直径約1cmの花のうがつく。雌雄同株。8月頃、花のうは帯黄色または淡紅色に熟す。

09.06.07神代植物園

09.06.07神代植物園

10.07.26屋久島

10.07.26屋久島

小説の木々

シーサーの並んだ古い門を抜けた泉は、目の前の砂丘が一望できる道を歩き始めた。砂丘沿いの道にもやはり古い石垣が延びており、旺盛に枝葉を広げたガジュマルの木々の濃い日陰ができている。この濃い日陰からすぐそこの美しい海を眺めると、まるで夜と昼とを同時に味わっているような気がする。泉はいつものように石垣によじ登り、昼と夜との間に立つように歩いた。(「怒り」吉田修一)

いつもは若干緑がかってどこかくすんでいる湖面が、空を映したような澄んだ青に染まていた。そこにうっすらと霧がかかり、水面の青は空気までも染めていた。そしてその向こうに、枝から地上に根をたらし自らの幹に纏わせる不思議な樹木の影が浮かんでいる。ガジュマル(カイダ)。ベトナムの昔話では、どんな傷でも癒す不死の樹だが、きれいな水でなければならず、汚れた水を与えると瞬く間に成長し、人を月まで連れ去ってしまう伝えられている樹だ。(「Blue(ブルー)」葉真中顕)