ヤチダモ(谷地梻)

別名 タモ
科属 モクセイ科トネリコ属
学名 Fraxinus mandshurica var. japonica

性状
落葉高木
葉の分類
対生、複葉、1回奇数羽状複葉、切れ込みなし、鋸歯あり
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

15.06.11日光西ノ湖

樹木解説

高さは20-35mになる。樹皮は灰白色。シオジに似るが、シオジの冬芽が暗黒色なのに対してヤチダモは濃褐色。葉は長さ約40cmの奇数羽状複葉で、葉柄の基部が膨らむ。小葉は3-5対あり、長さ6-15cmの長楕円形で、先はとがり、ふちには鋸歯がある。5月頃、前年枝の落葉した葉の腋芽から円錐花序を出し、花冠のない小さな花を多数つける。翼果はシオジよりやや小さく、長さ2.5-3.5cmの広倒披針形。

15.04.19日光植物園

15.05.19日光植物園

15.06.11日光西ノ湖

15.06.11日光西ノ湖

小説の木々

新興住宅街の端にあった。同じような家が何列も並ぶ。建て売りの住宅街の一角だ。ここから先はもう湿原を拓けそうにない。家の裏のすぐそばまでヤチダモの木が茂っており、防風林の役目を果たしている。西高校まで、歩いて二十分。遠回りをするバスに乗るために逆方向へ十分歩くことを思えば、徒歩通学のほうがましだという。冬場の通学の厳しさを考える。湿原から吹く風はどれほど冷たいだろう。(「無垢の領域」桜木紫乃)

忠夫さんと康夫が出て行った庭の正面には、門扉の代わりに大きなタモの木が二本聳えており、黒い枝が曲がりくねりながら薄墨の闇を掴むように伸びていました。二人の姿はすぐに見えなくなりましたが、その後に残った二本のタモの木は、眩しいほどに、いまにも光りだすほどに黒々と奇怪な姿をして、いまも私の額の裏に立っています。(「晴子情歌(上)」高村薫)