樹木解説
高さは3-6mになる。葉は互生し、長さ約10cmの楕円状披針形で、葉柄は約2cmで狭い翼がある。上部に鋸歯があり先端はゆるやかに尖る。中央脈を軸にやや表に折れる。5月、枝先に葉腋に白色で5弁の花を開く。果実は直径約12cmの扁球形で重さは400-500g。翌年の4-5月に黄色く熟す。
|
|
|
|
|
|
|
|
小説の木々
兄と桐叔父は夏みかんの木のそばに立っている。夏みかんのくせに、この木は真冬に実をつけるのだ。ぽかぽかとまるい、大きな、黄色い実がたくさんなっている。毛皮の半コートを着た桐叔父は木にもたれて煙草を吸っている。・・・夏みかんの木の葉は深緑でつやつやしている。厚ぼったい密集をしてつくので、ちょうどいい木陰ができる。地面に直接すわっているので、私のお尻も私の腿も、ひんやりとつめたい。(「抱擁、あるいはライスには塩を(上)」江國香織)
袋の中の夏蜜柑は、坂の下にある農家の庭から分けてもらったものだ。夏に実るわけではなく、冬に色づいて夏までのそのまま実っているから夏蜜柑と呼ばれるだと、初めて知った。(「嘘」村山由佳)