ヒメリンゴ(姫林檎)

別名 
科属 バラ科リンゴ属
学名 Malus × cerasifera 

性状
落葉高木
葉の分類
単葉、広葉、切れ込みなし、鋸歯あり
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形

12.04.24上福岡

樹木解説

寒冷地性のエゾノコリンゴと中国原産のイヌリンゴとの雑種といわれる。高さは0.3-1m程度。葉は互生し、長さは3-9cmの楕円形または広い楕円形。 縁には不揃いな鋸歯がある。葉のある短い枝先に散形花序を出し、5-6個の白い花を咲かせる。 花びらは5個、花径は3.5-5.0cm。 花の真ん中には雄しべがたくさんある。果実は直径1-2cmの球形で、食べられるが酸っぱい。

09.07.12上福岡

10.04.04川越

10.04.04川越

10.04.10昭和薬科大

09.07.12上福岡

09.07.12上福岡

10.09.22神代植物公園

10.09.22神代植物公園

小説の木々

洗濯を終えると、あたしはそれを、校庭の反対側の隅にある、寂しそうな灰色の木の枝にかけた。季節外れの姫林檎が赤く小さな、やけに乾いた実をさらして、夏の夜風にいまにも落ちそうに揺れてて、だからあたしはそれが姫林檎の木なんだと知ってた。もうおばあさんだったのかもしれない。やたら静かな木だった。長い時間をかけて失ったものを反芻しながら、この世から消えていく途中なのとでもいった按配の。あたしはその木が好きだった。昔の生徒がいろいろ落書きしてたけどまともに見なかった。ただ、もたれてるとなぜだか心が落ち着くのだった。あたしのハートはいつも大波で、揺れて、静かにしてあまり人と話さないし黙ってにやにやしてるだけなのに、ほんとうは苦しくて、いますぐにでもノドを掻き切って死んでしまいたい気持ちに二十四時間囚われていたのだけど。ここにいるとすこうしだけ楽になった。乾いた実が、まだ女なのよと囁くようにちいさな赤い色を燃やしている木にもたれて、枝にひっかけて干した下着とシャツが乾くのをじっと待っていた。(「セルフポートレイト」桜庭一樹)