樹木解説
幹は直立するかやや曲がり、高さは30-35m、大きいもので50m、直径2.5mにも達する。樹皮は赤褐色または黄赤褐色で幹の下部は暗赤色。老木になると厚く亀甲状に裂ける。葉は2個ずつつき長さ7-12cmの針状で柔らかく、葉の横断面は半円形。4月頃開花し、雄花は若枝の下部に多数付き、長さ1cmの円錐形で緑黄褐色を帯びる。雌花は紅紫色で先端に2-3個付く。球果は翌年の10月頃成熟し、長さ3-5cmの卵状円錐形で淡黄褐色。
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小説の木々
条件が厳しくなって都会からはズンズン遠ざかっていき、最後には山梨の山岳地帯のアカマツ林い辿り着いていた。清流沿いの松林と聞いて、堂々とした松のイメージを勝手に思い描いて下見に出向いたから、曲がりくねったヒョロ松の貧相な林を見たときには思わず足元の川砂を蹴り上げた。(「骨風」篠原勝之)
江口には見覚えがあった。らくだのこぶのような山の連なりに。公園で存在感を示すアカマツの巨木に。展望台に設置された石碑の「愛沢」の文字に。もっと言うなら、晩秋の薄青の空に、頬に感じる空気の冷たさに、鼻腔を指すかすかな焦げくささに。(「大人になれない」まさきとしか)