アオギリ(青桐)

別名
科属 アオギリ科アオギリ属
学名 Firmiana simplex

性状
落葉高木
葉の分類
互生、単葉、広葉、切れ込みあり、鋸歯なし
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形


12.10.04神代植物公園

樹木解説

高さは15mくらいになる。樹皮は平滑で灰緑色。葉は枝先に集まって互生し、長さ15~25cmの大形の扁円形、心形。掌状の3~5に浅、中裂する。ふちは全縁で基部は心形。6-7月、枝先に大形の円錐花序を出し、淡黄色の小さな花を多数開く。花序には帯黄色の星状毛が密生し同じ花序に雄花と雌花がまじって咲く。花には花弁はない。花弁に見えるのは5個の細長い萼片で開出してそりかえる。果実は長さ8-10cmの袋果で成熟する前に5裂する。裂片は笹舟のような形で、ふちに数個の種子がある。種子は直径約1cmの球形で網状のしわがある。キリの名前があるがキリの仲間ではない。

09.05.20白金台

12.07.04神代植物公園

09.07.03東京

09.07.03東京

10.07.08神代植物公園

10.07.08神代植物公園

16.07.23神代植物公園

09.09.21上福岡

小説の木々

夏が訪れた。早鳴きのミンミン蝉が青桐に来て朝早くから泣き始めた。人々の動く気配が聞こえる。ぎんは今での明け方、早く起きねばならないという焦りで目が覚める。早く早くと床の中で一心に駆けている。義母のせいの起きぬうちに身を整え、勝手口に行き、顔を洗わなければならない。早くと思いながら体が油の海につかったように重い。・・・吟子は青桐の先を見ていた。梢の先に鵯がきて鋭い鳴き声を立てていた。吟子はふと自分がその鵯の白い嘴に突かれているような錯覚にとらわれた。(「花埋み」渡辺淳一)

看板屋の主人は、取り付け作業を終えると、脚立の上にまたがったまま、事務所の裏側を指差した。四畳半ほどの空地が、事務所と裏側の民家のあいだにあった。そこには青桐が一本だけ植えてある。まださほど大きくはない青桐の厚い葉が、狭い空地に木陰を作っていた。(「流転の海/第六部慈雨の雨」宮本輝)