キリ(桐)

別名
科属 ゴマノハグサ科キリ属
学名 Paulownia tomentosa

性状
落葉高木
葉の分類
対生、単葉、広葉、切れ込みあり、鋸歯なし
類似
備考

参考: 葉っぱでおぼえる樹木(柏書房)/日本の樹木(山と渓谷社)/樹に咲く花(山と渓谷社)

樹形


10.05.12神代植物公園

樹木解説

高さは8-15mになる。樹皮は灰白色で皮目が多い。葉は対生し、長さ10-20cmの広卵形で、両面に粘り気のある毛が密生する。葉縁は3~5浅、中裂し、5~7本の掌状脈。5月、枝先に大きな円錐果序を直立し、長さ5-6cmの紫色の花を多数つける。花冠は筒状鐘形で、先はくちびる状に裂ける。さく果は長さ約3cmの先の尖った卵形で熟すと2裂し、翼のある小さな種子を多数出す。

14.05.14森林公園

14.05.14森林公園

14.05.14森林公園

14.05.14森林公園

14.05.14森林公園

10.05.12神代植物公園

10.06.26森林公園

15.11.12森林公園

小説の木々

一本の桐の生えている坂の道を下りて行った。桐の葉が新芽をふいている。手のひらほどのさみどりの葉を、いま風がうごかしている。その葉の向こうで、海峡は凪いでいた。(「飢餓海峡(下)」水上勉)

桐の花が咲いた病院を彼は退院した。珈琲店の二階の露台に通じる扉が開け放たれた。ボオイの服は新しく真っ白だった。・・「都会では自然より人間が季節季節の装いをして見せるのね。沢山の人がこんな風に街を歩いて初夏を製造しているんですわね。この街を人間の初夏だとお思いにならなくって。」「人間の初夏か、なるほどね。」彼は妻に答えながら、病院の窓に咲いていた桐の花を思い出した。(「掌の小説/人間の足音」川端康成)

一週間ほどで私は彼らの巣を突きとめた。森の入り口に立つキリの木にそれはあった。初夏には薄紫の筒状の花をつける喬木だ。キリを選んだのはメスの方かもしれない。まだ、花のない、重なり合った緑の葉の奥、別れた枝の間に彼らは巧妙に営巣していた。(「愚者の毒」宇佐美まこと)