西国札所巡り第五回、いよいよ結願(ケチガン)


参考文献:旺文社西国三十三ヶ所めぐり

西国札所姫路から近江、岐阜へ(平成22年6月3日~5日)

いよいよ最終の西国札所旅である。姫路に入る前に福知山線の2箇所の札所を巡り、続いて姫路に入る。翌日は姫路の2寺を回って近江へ出る。最後に琵琶湖の寺を終え岐阜の第三十三ヶ所目華厳寺である。青岸渡寺からほぼ2年(足掛け3年)もかかった。当初予定は桜満開の頃で、三大一本桜の根尾谷の薄墨桜も予定に入れていたが、急用で延期、しかし天候にも恵まれ、この時期の青葉、若葉も実に寺の風景にあって目が洗われる思いであった。

第二十五番御嶽山清水寺(みたけさんきよみずでら)

10.06.03清水寺/仁王門平成22年6月3日(木曜日 晴れ)
JR宝塚線相野駅から神姫バス清水寺山上行き35分、徒歩5分
拝観時間8:00-17:00、拝観料500円

 東京を8:30の新幹線で出発、相野駅から播州清水寺に行くバスは1日に数本しかない。相野に到着12:12、バスの時間まで42分待ち。この間に昼食をと思ったが、少し歩いても駅前に店がない。仕方なく昼食は駅のキオスクのお握りで済ます。かっては難所の一つとされていたが、路線バスでは本数が少ないもののの自動車道の開通で行きやすくなった。
 播州清水寺のご本尊は十一面千手観世音菩薩、ふくよかな顔をしている。境内は紅葉ほか木々の緑が初夏の陽に映えて爽やかに美しかった。天然記念物の九輪草が咲いていた。戻りは事前に調べたバス時刻より20分遅く、ここで早くも時間のずれで予定変更を余儀なくされる。問題は明石駅に写真が撮れる時間に到着するかである。

10.06.03兵庫県清水寺大講堂の十一面千手観世音菩薩像

10.06.03兵庫県清水寺境内の緑が初夏の陽に映えて

10.06.03兵庫県清水寺風格が漂う根本中堂

10.06.03兵庫県清水寺指定天然記念物の九輪草

第二十四番紫雲山中山寺(しうんざんなかやまでら)

10.06.03中山寺/山門平成22年6月3日(木曜日 晴れ)
JR福知山線中山寺駅から徒歩15分
拝観時間9:00-17:00、拝観料(境内自由)

 約20分遅れの16:15に中山寺に到着。札所巡りでは拝観納経時間の制限が付きまとう。山門を入ると多くのわらじが奉納されている。ここは西国巡礼再興の寺としても知られている。道徳上人が巡礼を始めたが普及せず、その後花山法皇が衰退していた巡礼を復興させたという。豊臣秀吉が子授けを祈願し、秀頼を授かったことから「子授け観音」として信仰された。境内にはエスカレータも設置され、立派なお寺さんである。
 これで本日の巡礼は終わり、残すところあと5寺。17:12中山寺駅を出発、次は姫路のホテルに入る前に、個人的番外の県立明石高校へ回る。夕刻が迫り、写真が撮れなくなると困るのだが。

10.06.03兵庫県中山寺山門に奉納されたわらじ

10.06.03兵庫県中山寺多宝塔

10.06.03兵庫県中山寺本堂一景

10.06.03兵庫県中山寺テカテカのおびんづる様

兵庫県立明石高等学校
平成22年6月3日(金曜日 晴れ)
JR山陽本線明石駅バス5分
 JR明石駅18:19に着くと駅前に止まっていたバスに飛び乗った。関東地方ならもう薄暗く写真の撮れる時間ではないが西日本で助かった、時間との勝負である。兵庫県立明石高校、時間もなく校内無断立ち入りだが・・・。出発前に女房が、勤めているデイサービスの利用者から聞いた話がある。
 昭和8年(1933年)8月19日、第19回全国中等学校優勝野球大会の準決勝第2試合の中京商業学校対兵庫代表・兵庫県立明石中学校。延長25回による決着は、県予選、春・夏の大会を通じて高校野球史上最長記録、スコアボードが足らず人が点数板を持っている。写真は部室に飾ってあったもので、このときの主将の奥様がその利用者である。グランドの隅に記念樹を植えたというのでその記念樹(クスノキ)を見に来た。
 聞くと誰でも25回延長試合のことは知っていたが、記念樹は分からなかった。ついに練習中の野球部を訪れ聞くと、それはバックネット裏にあった。加えて部室にも案内してもらい、冷たいアイスコーヒーまでご馳走になった。野球部の皆さんありがとうございました。
 姫路のホテルには20:20着、ほぼ1時間遅れ。シャワーを浴びて夕食、といっても飲み屋さんですね。宿代を浮かしてその分夜食は豪勢にと八海山を何度もお代わりする。本日の総歩数は20,320歩。

10.06.03明石県立明石高等学校

10.06.03明石この裏に甲子園出場の記録がある

10.06.03明石バックネット裏の記念樹(クスノキ)

10.06.03明石夕日を背にした記念樹

第二十六番法華山一乗寺(ほっけさんいちじょうじ)

10.06.04一乗寺/本堂への石段平成22年6月4日(金曜日 晴れ)
JR神戸線姫路駅から神姫バス社行き34分
拝観時間8:00-17:00、拝観料300円

 姫路駅発8:30のバス(直接一乗寺に行くにはこれが朝一番)に乗る予定だったが、バス停二つ歩くつもりで7:15発に乗る。小原で降りて、今日も爽やかな初夏の朝のバス道を道沿いの木々を見ながら歩いた。バス停二つだから遠くても15から30分も歩けば、と思ったのが甘かった。たっぷり一時間かかり、余裕の時間も消費した。
 受付の後ろには市指定の杉の大木(樹囲4.4m)があり思わず見上げる。本堂へ続く急勾配の172段の階段を登る。登り切ると三重塔が見える。ここのご本尊は聖観世音菩薩。ここでも緑が鮮やかだった。
 結局予定通りの10:07発の帰りのバスに乗る。ここで同じ西国巡礼をしている一人の女性と会った。概して関西の女性は話好きと見えて、随分しゃべっていた。その方は携帯の電波障害を受けるというのでバスの中で携帯を使われるのを極度に嫌っていた。やはり公共マナーは守らなければいけない。

10.06.04兵庫県一乗寺受付後ろの杉の大木

10.06.04兵庫県一乗寺本堂から三重塔を望む

10.06.04兵庫県一乗寺本堂

10.06.04兵庫県一乗寺三重塔

第二十七番書寫山圓教寺(しょしゃざんえんぎょうじ)

10.06.04円教寺/山門平成22年6月4日(金曜日 晴れ)
JR神戸線姫路駅から市バス書寫行き25分、ロープウェイ、徒歩20分
拝観時間8:30-18:00、拝観料300円

 一乗寺から一旦姫路駅に戻りすぐさま次の円教寺への11:00発のバスに乗り換える。バスは姫路城を正前に今度は左折する。バス終点でロープウェイに乗り換え徒歩15分で円教寺に到着。標高371mの書寫山へはロープウェアイ、高校生のガイド体験に遭遇。外人さんの姿も見られる。いろいろあって面白い。
 西国霊場の最西端、「西の比叡山」と呼ばれる大寺院である本殿の摩尼殿は舞台造りで単層入母屋造りでとにかく豪壮。気を静めて般若心経をあげる。この奥には修行場所の大講堂、食堂(じきどう)、常行堂とあるが、残念だが今回は時間がない。そちらに歩きかける女房殿を呼び戻し、戻り道を急ぐ。バスの出発は12:40分、これを逃すと後の行程に大きく影響するとばかり、ロープウェア乗り場へは最後は駆け足であった。帰りのロープウェアイの客はわれわれ二名のみで、ガイドさんが近くにきて雑談モードの案内をしてくれる。
 さてここからは兵庫県を終え、山陽、東海道を結び一路滋賀県へ向かう。

10.06.04兵庫県円教寺舞台造りの魔尼殿

10.06.04兵庫県円教寺緑との調和が美しい

10.06.04兵庫県円教寺

10.06.04兵庫県円教寺

第三十二番繖山観音正寺(きぬがさやまかんのんしょうじ)

平成22年6月4日(金曜日 晴れ)
JR琵琶湖線近江八幡駅から近江鉄道バス13分、観音寺口下車徒歩40分
拝観時間8:00-17:00、拝観料(境内自由)

 姫路から2時間、15:38東海道の能登川着。路線バスは観音寺口下車でそこから徒歩で山道を約40分登らなければならない。いろいろ手間取り参道入り口16:15から山登りで、参詣時間が17:00までなのでそれ程ゆっくりもできない。標高433mを息を切らせながらやっと登りきると山頂に吹く風は実に爽やかだった。
 ここは聖徳太子が建立した寺で、歴史は古く魚の殺生を生業とし人魚に姿を変えられたという人魚にまつわる伝説もあるようだ。一度火事に合い平成16年に再建されたが、6.3mの千手千眼観世音菩薩はインドからの大量の白檀で刻まれたものだという。
 さてこれで本日の予定は終了、また同じ山道を下って能登川に戻り彦根へ向かう。彦根はちょうど彦根城をバックに夕日が沈む頃となった。19:00彦根のホテルに入った。夕食は予約した近江牛のせんなり亭伽羅へ。宿泊料の倍もする夕食で満足。本日の総歩数29,738歩。

10.06.04滋賀県安土町山道の参道を行く

10.06.04滋賀県安土町石仏

10.06.04滋賀県安土町参道にある「ネズミ岩」

10.06.04滋賀県彦根

第三十番巌金山宝巌寺(がんこんざんほうごんじ)

平成22年6月4日(土曜日 晴れ)
JR湖西線近江今津駅下車、琵琶湖汽船
拝観時間8:00-17:00、拝観料(境内自由)、入島料別途400円

 朝は長浜港から出る9:00の船に間に合えばいいので、朝1時間ばかり彦根市内を散策。彦根城を中心に街全体がきれいに整っている。彦根駅へ行くと予定の電車がない!平日ダイヤを見たのだろうが、7分あとに来た電車でも間に合った。竹生島は数年前母、兄弟で旅行をした折に来たことがあるが、そのときはまだ西国巡礼など興味がなかったし、むしろ長浜港に貼ってあった西国の地図をみてとてもじゃないが回れないな、と思っていたものである。それも今日が満願である。
 船を降りて土産物屋を過ぎると167段の階段を上がる。本尊は千手千眼観世音菩薩で60年に一度しか拝めないらしい。この島には宝厳寺と都久夫須麻(つくぶすま)神社があり、神仏習合となっている。
 さて残るは最後の第33番札所華厳寺である。長浜に戻り、米原で乗り換え大垣に向かう。

10.06.05滋賀県竹生島本殿で般若心経を唱える

10.06.05滋賀県竹生島三重塔

10.06.05滋賀県竹生島弁財天像

10.06.05滋賀県竹生島国宝船廊下

第三十三番谷汲山華厳寺(たにぐみざんけごんじ)

10.06.05華厳寺山門平成22年6月5日(土曜日 晴れ)
JR東海道線大垣駅から樽見線谷汲口下車、名阪近鉄バス8分、徒歩10分
拝観時間8:00-16:30、拝観料(境内自由)

 大垣から樽見線に乗り換え谷汲口下車、さらにバスで揺られること8分、14:30華厳寺到着、ここで最後のチョンボ発覚。華厳寺はバス停すぐと思っていたので、35分後の15:05戻りのバスに乗る予定だった。降りてみると華厳寺は1km先にあり、往復でも20分はかかる。しかも乗り過ごすと次のバスは1時間半後しかない。もともと4月の計画はさらに奥へ行き根尾谷の薄墨桜をみるつもりだったのだが、新幹線の指定切符も買ってある。
 とにかく急いで行ってみようということで、寺までの往復は半ば走り足。寺では納経、朱印、そして精進お年の鯉にも触れてきた。結局土産を買う時間もなく、なんとか予定の15:05のバスで谷汲口まで戻った。名古屋17:00発の新幹線に乗り自宅へは20:00に帰ってきた。本日の総歩数22,569歩。

10.06.05岐阜県華厳寺本堂

10.06.05岐阜県華厳寺どこの寺も緑が美しかった

10.06.05岐阜県華厳寺精進落としの鯉

10.06.05岐阜県華厳寺谷汲口駅と樽見線

 一昨年、熊野古道のツアーに参加し、那智の滝にある西国33ヶ所札所巡りの第一番札所青岸渡寺から初め、今回の第33案札所華厳寺まで、足掛け3年を経てやっと西国33札所巡りが無事に終わった。宗教心があるわけではないが、札所巡りを含め旅はいろいろなところに行き、いろいろな人に会う意味で楽しい。次は四国札所88箇所があるが、その前にもう一度秩父札所を泊りがけで行ってみるつもりです。

10.06.05滋賀県近江観音長寺の山道から望見した近江平野

10.06.04滋賀県彦根夕食を摂ったせんなり亭伽羅

10.06.05滋賀県長浜船からみる長浜城

10.06.05滋賀県長浜昔の風情をかもし出す長浜