西国札所巡り第四回

参考文献:旺文社西国三十三ヶ所めぐり

西国札所日本海丹後・舞鶴(平成22年2月25日~ 27日)

 少し遠くにある札所に行く。ここは一日に1寺しか回れない。一日目は東京から一路京都、福知山を経て天橋立まで行き、第二十八番成相寺、舞鶴に一泊し、翌日第二十九番松尾寺へ。翌日は札所から離れるが、残る姫路、近江へは便が悪いので、今回は女房が行ったことがないという福井の東尋坊、永平寺を回る半分観光の旅となった。私としても、冬の日本海、雪の永平寺のイメージがあり、わざわざこの寒い時期に行くことにした。

第二十八番成相山成相寺(なりあいさんなりあいじ)

平成22年2月25日曇り時々晴れ
北近畿タンゴ鉄道宮津線天橋立駅から徒歩5分、丹後海陸交通観光船12分、下船後徒歩5分、傘松ケーブル4分、丹海交通成相登山バス6分
拝観時間8:00-17:00、拝観料500円(フリー切符で400円)

 会社へ入った年のGW丹後半島を一周した。天橋立はそれ以来である。もちろんその頃は札所巡りさえも知らなかった。北近畿丹後鉄道天橋立駅でおり、フリー切符を買い、細かく船、ケーブル、バスを乗り継ぎ、14:40第28番札所成相寺に到着。ネット情報で冬期の参拝は雪に注意とあったが、季節を間違えたくらい暑い。本堂前にいくらか解け残りの雪があった程度で、残念だがとても雪景色どころではない。札所巡りもシーズンオフで、天橋立こそそこそこに団体客がいたが、札所への参拝者は少ない。我々が般若心経を唱えたあと、それを追うように40代くらいの夫婦が般若心経を詠んでいた。西国札所巡りを始めた頃、一番遠く気に掛かっていた寺であったが、なんとかここまで来た。16:03天橋立を出て、今日の宿泊地であり、明日の松尾寺の一つ手前の駅の東舞鶴へ向かう。夕食前薄暗くなった東舞鶴の赤レンガ通りを歩く。夜空に月は出ていたが、淡く暈を被っている。明日は雨だろう。

10.02.25天橋立傘松山から天橋立を望む

10.02.25成相寺成相寺の山門

10.02.25成相寺伝説のある撞かずの鐘

10.02.25成相寺美人観音を安置する本堂内

10.02.25成相寺左甚五郎作「真向の龍」

10.02.25成相寺復元された五重塔

10.02.25成相寺観音像

10.02.25東舞鶴元海軍倉庫跡の赤レンガ博物館

第二十九番青葉山松尾寺(あおばさんまつのおでら)

平成22年2月26日雨のち曇り
JR舞鶴線東舞鶴から小浜線乗り換え、松尾寺駅下車、徒歩1時間
拝観時間8:00-17:00、拝観料境内自由

 朝7:26東舞鶴を出て、一つ先の松尾寺駅に7:33着。駅を降りたのは我々2人だけで松尾寺駅は無人駅。パラパラと降る雨の中、傘を差して片道45分の徒歩道。想定では雪道のはずが、雪を踏むこともなく雨の中を黙々と歩く。学校へ行く小学生とその祖父らしい方とすれ違っただけで人影は見えない。途中から近道の山道を登り、8:20松尾寺着。境内には、立派な樅、杉、銀杏の樹があり、特に本堂横のまっすぐ伸びる杉の木をしばらく見上げた。帰りは雨も上がり、ぶらぶらとビニール袋一杯の蕗の薹を摘みながら戻った。最初の計画では寺前の茶店「流々亭」で昼食をと思っていたが、ここは2月は土日のみ営業。他に昼食を摂る店もないので、10:52の敦賀行きに乗り三方へ出る。三方駅を降りるとまた前が降り始め、雨の中を湖畔の鰻屋淡水を目指したが、行ってみるとお休み。予定を変更して手前の鰻屋徳右衛門で、ちょっと豪華に3,750円也の鰻を賞味。ちょうど冬季オリンピックの女子フィギアで浅田真央が銀メダルを取ったところであった。今回の巡礼旅の予定はこの2寺だけであとは東尋坊、永平寺の観光である。今晩の宿は三国温泉、久しぶりに温泉でゆっくりする。

10.02.26松尾寺参拝前に本堂の鐘を鳴らす

10.02.26松尾寺本尊は馬頭観世音菩薩、西国で馬頭観音はここだけ

10.02.26松尾寺本堂前の残り雪

10.02.26松尾寺本堂廊下の獅子の彫刻

10.02.26松尾寺本堂前

10.02.26松尾寺銀杏の老木

10.02.26松尾寺蕗の薹(摘むには育ち過ぎ)

10.02.26松尾寺雨に煙る山並み

茶店「流々亭」
 最初の計画ではここで昼食に「お煮そば」をと思ったが、冬期の2月は土日のみの営業と分かり、今回の旅の前、流々亭にこの地方の雪の状況と途中昼食を摂るところを尋ねたところ、ご丁寧なメールを頂いた。メールでは、「JR松尾寺駅から松尾寺の間には昼食をとれるお店がないこと。(JR松尾駅を下りまっすぐ国道に向かって直進したところにローソンが1軒あるのみ)。2月末頃の雪の様子に限っては、どうにもこうにも予測がつかず、雪で下の街では少ししか積もっていなくとも、山の上には沢山の積雪になることもしばしば。大雪予報でもない限りは、松尾寺までは歩けないこともなく、一度数年前に積雪2mほどのときでもお参りが一人もなかった日は無い。念のため、ご予定の頃に、こちらから舞鶴の雪の状態をメールをしていただける」とのこと。出立前に現地の貴重な情報を頂いた。

 また、出発直前には、「明日(25日)はちょうどお上人(松尾心空和尚)がお客様とお食事をされたいとのことで、10時から3時までお昼の支度をすることになった」とのことだったが残念ながら1日違い。「舞鶴の天気は、ここ4日ほど毎日晴天続きで、日を追うごとに気温も高く、今日は20℃ほど。この冬は大雪に見舞われることにならずに済んだことは大変嬉しい限り。どうぞ風邪などひかれませんようお気をつけてよいお参りを」を暖かいメールを頂いた。

 幸か不幸か、期待に反して20度にもなる暑いくらいの気温となり、雪どころではなかった。もともと巡礼旅は、雨でも雪(矢でも鉄砲までは?)でも、ですよね。流々亭はまたの機会に期待することにした。むしろ、お会いしたこともないのに、こんなに暖かいメールを頂くことができてありがたかった。

10.02.26流々亭築100年以上の民家を利用した茶店流々亭

10.02.26流々亭冬期限定の「お煮そば」を食べたかったが

10.02.26流々亭松尾寺仁王門下にひっそりと

10.02.26流々亭二階席から山並みを

東尋坊

10.02.27東尋坊平成22年2月27日曇りときどき晴れ
JR福井から越前鉄道三国から京福バス、またはJR芦原温泉から京福バス

 朝8:15越前三国から三国海岸沿いに強風の中東尋坊へ約1時間歩く。雨は降らなかったがなにしろ風が強い。沖には白波が立っている。このため観光船は欠航。柵も無く高所恐怖症のためあまり崖っぷちまでは近寄れない。リュックを背負っているので風に煽られふらつきそうである。ここにも数十年前能登半島一周した折寄ったことがあるが、今回は女房が行ったことがないというので、巡礼旅に付け加えた。我々の巡礼旅はあまり真摯とは言えないかも知れないですね。
 ここ東尋坊は自殺の名所としても全国的に有名だが、地元では各所に自殺を思いとどまらせるための句碑や看板を設置して自殺を防ぐ努力をしているとか。公衆電話にテレホンカードや10円硬貨を常備して誰かに相談ができるようになっている「救いの電話」を設置してあるとこことだが、確認してこなかった。
 明日の晩の酒のつまみにと、蟹を買い求める。10:50京福バスのフリー切符2,000円を買い、東尋坊から芦原温泉を経て永平寺に向かう。

10.02.27越前三国海岸

10.02.27東尋坊柱状節理

10.02.27東尋坊ロウソク岩

10.02.27東尋坊千畳敷

永平寺

10.02.27永平寺平成22年2月27日曇りときどき晴れ
JR芦原温泉から京福バス1時間
入山料500円、瓦代1,000円(任意)

 永平寺に近づくとやっと雪が畑を真っ白くしていて雪の季節感が出てきた。12:30永平寺着。どうも永平寺と聞くと暮れの番組の「行く年来る年」でしんしんと降る雪の中の山寺の感が強い。總持寺とならんで日本曹洞宗の大本山である。ここは禅寺なので京都にある寺のような美術工芸品は少なく、このときも200人余りの修行僧が修行中であった。ここは番外として般若心経を唱え朱印をもらった。昼食はバス停近くの店でそばを頂く。

 これで予定終了。14:30永平寺から福井に戻り、敦賀を経て米原に出て新幹線で戻る。20:30帰宅、今回は巡礼4+観光6の旅であった。これで西国33ヶ所は残すところあと7寺。今年の春に2泊3日で岐阜華厳寺を最後に結願する。

10.02.27永平寺杉並木

10.02.27永平寺の雪

10.02.27永平寺

10.02.27永平寺