どんぐり(堅果)
09年2月7日、調布にある神代植物公園に行くと入り口でボランティアの方が木の実を展示していた。その多さにまず驚かされたが、その中にどんぐりの実があった。実物でも実際に自分で見たものではないのだが、これだけ揃えるには相当の時間と努力が要る。パクリと言われようが楽しくなるので展示しておきたい。小さな子供がどんぐりの実に集まりワイワイしていた。こうした活動はすばらしいと思う。
小説の木々
町からの電波を掴まえようと、久しぶりに裏山のデッカいドングリの樹に向かった。その樹の二股は半年前までは海を眺めるためのオレの指定席だった。あるときオヤツの乾燥芋をポケットにねじ込んで登ると、折れて垂れ下がった太い枝の先っぽが不自然な具合に風に揺れているのがみえた。乾燥芋をかじりながら近寄ると、それはドングリの枝ではなく「気をつけ」のまま縄でぶらさがっているウドン屋のオジサンだった。ヒトが死んでるのを見たのは初めてだった。樹の根元にクワガタの背中みたいにピカピカに磨いた革靴が揃えてあり、真下から見上げると眼が半分開いて、オレを見下ろしていた。(「骨風/矩形と玉」篠原勝之)
ドングリと呼ばれるものの代表格は、スダジイ、マテバシイ、ツブラジイの三種類で、いずれも平野部の雑木林、公園、神社などに生育している。他に、山間部に多いクヌギやコナラなどもドングリの一種だが、こちらは渋みが強くて食べにくい。スダジイは細長く、マテバシイは細長く粒が大きく、ツブラジイは丸っこくて小さいので外見で容易に区別できる。いずれも生食可だが、タンニンによる渋みがあり、また虫が寄生している可能性や、消化のしやすさなどを考えると、調理した方がよい。調理法は、煮る以外に、焼いたり煎ったりする方法がある。焼くときは殻に割れ目を入れておかないと破裂する危険性があるので注意。煎るときは油を引いたフライパンで殻が裂けるまで弱火で熱を通せばよい。採取するときは自然に落下したもののうち大きなものを選ぶ。小さなものは中身が空っぽのことがよくあるので避けたほうが効率がよい。収穫できるのは九月の終りから十一月頃までだが、数日間水に浸してから一週間ほど天日干しすると、中の実が乾いて振るとコロコロ鳴るようになり、皮がむきやすくなる。後はざるなど風通しのいい容器に入れておけば、一年中食べることができる。ちなみに、水に浸すのは中に虫がいた場合に殺すため。また、既に虫に食われたもの、腐食しているもの、中身が空のものは水に浮くのでその段階で取り除く。なお、ドングリは高カロリー食品で脂肪分が多く、便秘や吹き出物の原因になることもあるので、普段の食生活を考えると食べ過ぎないように注意したい。(「ひなた弁当」山本甲士)