四国札所巡り第五回(3日目)

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第四回に続いて、歩き止めの第五十三番円明寺(伊予和気)の続きから。今回は菩提の道場愛媛県から涅槃の道場(香川県)へ。四国遍路もいよいよ大詰めである。

第五十六番金輪山泰山寺(きんりんざんたいさんじ)

13.03.16第五十六番泰山寺本堂平成25年3月16日(土曜日) 天候 晴れ
南光坊より徒歩3.0km
 今日は小刻みに4寺を廻り、30.5km歩く。7時前、宿を出立する時、「寒いからこれを」と暖かくしたミルクティ缶を頂く。泰山寺は宿から近く1時間もせずに着く。ここには山門、仁王門はなく、寺前の駐車場に山門を似せた門がある。鎌大師で追い抜いた歩き遍路さんが先に来ていた。
 境内には大師お手植えの「不忘の松」は三代目の子孫の木が植えられている。そもそも弘法大師の足跡を追うと、奇跡ばかりで、これは信仰心からは仕方ないことかもしれない。そんなことに気を取られる事なく、単に歩くだけの遍路道でもいいと思う。人はそれぞれに自分のへんろ道を持っている。

13.03.16大師堂

13.03.16鐘楼

13.03.16菩薩像

13.03.16不忘松

13.03.16四国遍路無縁墓地泰山寺を出て10数分行くと「四国遍路無縁墓地」があった。「不治の病を悟ったとき、かって人々は四国遍路へと旅立った。死装束を着て、現世を捨て、最小限の荷物を背負って八十八箇所を歩く終りのない旅である」(「がん患者学Ⅱ」柳原和子)こうした人々、あるいは事情があって家族、親族にも連絡することもできない人々が行き倒れたものであろうか。今では野宿にしても近くにコンビニやスーパがあったり、計画的に歩けば民宿もある。昔の歩き遍路は想像以上に過酷だったに違いない。

第五十七番府頭山栄福寺(ふとうざんえいふくじ)

13.03.16第五十七番栄福寺本堂平成25年3月16日(土曜日) 天候 晴れ
泰山寺より徒歩3.1km
 蒼社川を渡り、遍路休憩所を素通りして、次の栄福寺へ向かう。話しながら歩いていて、危うく通り過ぎそうになった。タクシーで一人車遍路をする人、家族7,8人で車遍路をする人、今回初めてちょっと賑やかになってきた。昨日鎌大師で追い抜き、今日も休憩所で追い抜いた歩き遍路さんがかなりやっていそうに見えたので、「何度目ですか」と訪ねた。今回16回目とのことで、納め札は赤札、25回目で銀札だからあと8回は頑張るという。朱印帳は重ね印で真っ赤で、朱印代だけでも50万円くらい支払ったことになる。100万円という人の朱印帳も見たことがあるという。今回は2月から廻っており、番外別格も廻って、別格では数珠玉を求め毎回全周して数珠を作り知人にプレゼントしているという。
 本堂横になにやら粗末な箱車がある。昭和8年(1933年)に遍路で訪れた少年が歩けるようになり奉納したものだとか。真偽のほどはどうあれ、こうした奇跡話は遍路道のあちこちにある。実際、不治の病を患い、藁をもすがる気持ちで遍路に出た人も多いと思う。

13.03.16大師堂

13.03.16鐘楼

13.03.16大師像

13.03.16木製の箱車

第五十八番作礼山仙遊寺(されいざんせんゆうじ)

13.03.16第五十八番仙遊寺本堂平成25年3月16日(土曜日) 天候 晴れ
栄福寺より徒歩2.4km
 犬塚池を通り過ぎ、今まではずっと平地だったが、ここでダラダラと坂を上がっていく。昨日通り過ぎたしまなみ海道が遠く見える。9時半頃、仁王門に着くと、車道はそのまま登るが、歩き遍路道は仁王門を潜り、作礼山頂上標高281mまで石段を登って行く。団体や、ご夫婦の遍路さんが車で上がってくる。
 この仙遊寺に編笠が売っていたので、既に半分以上来ているが購入。今までは、編笠の方が涼しそうだが風に煽られると厄介と思い、野球帽で通してきた。今更だが、なにより見た目。前回編笠をかぶっていたほうが、遠くからでも遍路らしく見えると思った。これも形から。

13.03.16遠くしまなみ海道を

13.03.16大師堂

13.03.16満開の寒桜

13.03.16石仏群

第五十九番金光山国分寺(こんごうざんこくぶんじ)

13.03.16第五十九番国分寺本堂平成25年3月16日(土曜日) 天候 晴れ
仙遊寺より徒歩6.1km
 五郎兵衛坂で作礼山を下り、吉祥禅寺を過ぎ予讃線伊予富田を右折。千代鶴という喫茶店が開いていたが、時間があれば休憩したいが素通り。156号をいき、11時40分頃国分寺に到着。ここで今日の行程の約半分。女房が腹の具合が悪いというので、ここで1時間半の大休止となった。昼食は寺前に案内が出ていた近くの「風まかせ」で遍路ランチ(680円)を注文した。この「風まかせ」、ちょっと洒落た店で手作りの民芸品なども売っている。徳光アナが放送で来たことがあり、ポスターが貼ってあったが、近々BSで放送されるとか。食後に今治祭りを描いた木製の葉書(140円切手で実際に使える)をお接待で頂いた。
 風まかせを13時頃出発。さてここで予定外に大幅な休憩をしたので、今夜の西条市にある宿栄屋までの15.7kmは黙々と歩くしかない。途中大明神川ほとりの無人寺である光明寺に、無料遍路施設があった。トイレ休憩を兼ねて中を覗くと、二段ベッドで割りと綺麗な宿泊場所である。金を掛けずに廻る遍路には有難い場所だろうと思う。

13.03.16大師堂

13.03.16握手修行大師と薬師のつぼ

13.03.16伊予府中21霊場第一番

13.03.16食事処風まかせ

13.03.16栄屋旅館<後記>17時前に栄屋旅館に到着。今日は我々以外に3名宿泊とのこと。ご夫婦は夕食時間までには来たが、もう一人の男性は翌日朝食で顔を合わせた。ご夫婦は京都からで数日ごとの区切り打ち、一人の男性は18日が雨の予報なので多少無理してここまできたとのこと。我々の泊まった二階の部屋は元首相の菅さんが泊まった部屋だとか。この辺りからぼちぼち菅さんの足取りが見えてくる。
「総歩数50,691歩(30.4km)」7時間19分
一泊二食6,000円、トイレW1、洗濯接待/乾燥有料