28. 下北紀行

以前から機会があれば行ってみたかった場所である。どうにも交通機関が不便そうで二の足を踏んでいたが、検討してみると便は少ないが、観光バスを使わず路線バスを使って1周コースを組み、ゆったり回ることにした。

散策日
平成27年6月26-29日(金-月曜日)
所 感
15.06.29仏ケ浦 下北半島の観光の見所は、尻屋崎、大間崎、仏ケ浦、恐山、薬研温泉、下風呂温泉とさほど多くない。交通は大湊線で下北に行き、あとはバス路線に頼ることになる。半島内は意外に距離がなく、車があれば1日で回ることもでき、観光バスも尻屋崎、大間崎、仏ケ浦、恐山の4カ所を一日(7:45-18:10)で回っている。今回は路線バスを使ってのんびり贅沢な観光ができた。


15.06.26むつバスターミナル
路線バスはこのBTが起点

15.06.26尻屋崎
なんと灯台は海霧の中

15.06.26尻屋崎
本州最涯地の石碑

15.06.26尻屋崎
景勝地ながら草地には馬糞が

6月26日(金)、曇り。大宮6:42発の「はやぶさ1号」でとにかく一路北へ。八戸で青い森鉄道、大湊線で11:03下北に到着。終点の大湊駅の一つ手前、下北駅は現在本州最北端駅。バスでむつバスターミナルに向かう。下北半島のバス路線の起点はこのむつBT。乗換の連絡もスムーズに、12:45に尻屋崎に到着。しかし、灯台が見えない。海霧が出て辺りは乳白色に煙る。観光バスだと尻屋崎の休憩時間は20分。路線バスの戻りも13:20が最終。急いでも明日の恐山行バスはBT9:15発なので、青い空と白い灯台、草を食む寒立馬を見ながら数時間のんびり過ごす予定だった。曇り空で青い空は断念していたが霧は想定外。聞けば釧路と同じように霧が発生しやすいところだという。半袖姿ではいささか寒い。

15.06.26尻屋崎鳴海要吉の文学碑

15.06.26尻屋崎草を食む寒立馬

15.06.26尻屋崎一軒だけある土産・食事処

15.06.26尻屋崎波打ち際に咲くハマナシ(ハマナス)

鳴海要吉「諦めの旅ではあった 磯の先の白い灯台に 日がさしていた」の文学碑がある。本州最涯地の石碑もあり、天気が良ければ最涯を感じるにはいいところだと思う。寒立馬は数十頭いるはずだが、広い放牧地でどこに行ったやら。観光客向けにいつも灯台下にいる訳ではなく、どこに行こうと馬の勝手。草地にはあちこち馬糞が落ちていて散策には注意。やっと2頭見つけた。観光客もまばら。荷物を預け一通りみたあとは食事処へ戻り、1,800円のいくら丼と酒を注文し昼食。15時過ぎには閉めたいというので、携帯で今日の宿に電話をし迎えの車を手配しようとするが電波状態が悪い。店の方が代わりに電話を掛けてくれて3時過ぎ車を呼んだ。波打ち際にハマナスが咲いていた。

15.06.26むつ市岩谷26日泊のかくもと旅館

15.06.27恐山恐山菩提寺の山門

15.06.27恐山湯の湖の半周する

15.06.27恐山慈覚太子堂と岩場

26日夕刻より雨。今回の旅は梅雨前線を伴ってきた感じ。しばらく雨が降っていなかったので、お百姓さんにとっては恵の雨とか。この時期の旅行だからこれも止む無し。泊り客は一人。部屋のお茶が紅茶のティーバックだったのは興覚め。翌日27日も朝から雨。9:01のバスでむつBTに戻る。次の恐山行バスは11:20。同じようにバスを待つ男女2名がいてバス代でも800円するというので相乗りで片道4,000円のタクシーで往復することにした。三途の川を渡り恐山に入る。普通の寺と異なり陰鬱な雰囲気を感じる。雨風のため地獄巡りはちょっとだけにした。タクシーを使ったので時間ができ、下北駅で昼食。佐井行のバスも1便早く12:50下北発に乗れた。

15.06.27薬研温泉
奥薬研レストハウス

15.06.27薬研温泉
奥薬研夫婦かっぱの湯

15.06.27旧大畑駅
廃線となった大畑線大畑駅

15.06.27下風呂温泉
27日宿の夜食

恐山のタクシー利用で大畑駅のデマンド型タクシーの待ち時間ができたが、電話をするとバスに合わせ車を出してくれた。また、戻りもバスに合わせ30分早めてくれ、薬研温泉を都合よく、安く往復できた。奥薬研には有料/無料かっぱの湯があり、雨が降っていたので有料(200円)の湯に入り、露天で雨の降る中傘を差して幾分温めの単純泉の湯に浸かった。タクシーで時間を調整してもらったので、奥薬研で予定では1時間のところ2時間とゆっくりでき、風呂上がりにイカ刺しと冷酒でのんびり。大畑駅はかって本州最北の駅であったが、今では廃線となり、駅舎はバス停の待合室に利用され、かすかにその面影を留める。路線バスも1時間早く乗れ、17:11下風呂温泉到着。下風呂温泉は歴史が古く、硫黄泉はきつい感じで、湯当たりしそうだった。

15.06.28大間
大間崎と大間崎灯台

15.06.28大間崎
マグロのモニュメント

15.06.28大間崎
1.5億円のマグロの店で3切れ

15.06.28佐井港
昼食は2,500円のウニ丼

朝食後もう一度湯に浸かり、8時過ぎ宿を出立。起きた時には降っていた雨も上がった。8:41のバスの運行は怪しかったのだが、やはり土曜しか走っていない。次は10:16発だし、一度宿に戻り、タクシーだと大間まで4~5千円くらい掛かるというので一旦は諦めたところ、宿の人が調べてくれ、定期観光バスぐるりん下北の区間乗車ができ、8:55発で大間着9:20。大間のマグロは有名だが、大きいマグロは皆築地へいくという。1.5億円のマグロを釣り上げた漁師の母親がやっている店をガイドから紹介され、ここでぐるりん下北といえば、1,000円でグロを食べさせてくれるという。ただし、3切れだけ。ここは話の種としてマグロ3切れと冷酒で。続けて別の店で殻付ウニ500円を冷酒付きで2ケ。ウニがこんなに甘いものとは知らなかった。10:45大間を離れ佐井へ。13:00の仏ケ浦観光船の待ち時間に、ウニ丼2,500円で昼食。ウナ重を想えばこんなものか。

15.06.28仏ケ浦
奇岩が並ぶ仏ヶ浦

15.06.28仏ケ浦
こんなところに不思議が

15.06.28仏ケ浦
船着場から30分散策

15.06.28佐井
民宿近くにハコネウツギ

佐井に着くと雨がまた降り始めた。仏ケ浦には佐井港から船で30分。上陸して30分散策。仏ヶ浦は峻険な海岸沿いに2km以上に亘り、奇異な形態の断崖・巨岩が連なる。陸上から近付くのが困難な土地で、長らく地元民のみに知られる奇勝だったという。仏ヶ浦が世に広く知られるようになったのは大町桂月が紹介してから。恐山の奥ノ院とも霊界の入り口ともいわれる。佐井にはいくつか寺院があるが天気が悪いので早めに民宿みやのに投宿した。ここの女将さんがテキパキした明るい方で宿泊客も多いようだ。

15.06.29仏ケ浦
海上からの仏ヶ浦

15.06.29脇野沢
脇野沢港沖合の鯛島

15.06.29弘前
移設工事中の弘前城

15.06.29弘前城植物園
植物園で見つけたオオヤマレンゲ

6時から朝食、7:00発の青森行き定期船の乗る。同乗の小母さんが5分前に診察券、保険証を忘れたと騒ぎ出し、急遽家に取りに戻り、5分出発が遅れた。らしいでした。今朝は曇っていたが乗船の頃から晴れてきた。今回の旅行でみる初めての青空である。仏ヶ浦では速度を緩めてくれて、海上から見るのもまた良し。脇野沢では鯛あるいは鯨ににた鯛島をみて下北を離れ、一路青森へ。10:51の特急で弘前へ。ここは2年前桜の時期に来ている。今年10年掛けの石垣の修復のため、城を移動させる工事が始まっている。まだ城影は見ることができた。今回は植物園が目当てで、前回駆け足で回った園内をゆっくり見て回った。大山蓮華は今年見納めである。14:25弘前発鈍行で新青森に出て、15:52はやぶさ26号で帰った。路線バス中心で発車時刻に気を使ったが、結果オーライでスムーズに回ることができた。

<後記>JR東日本がやっている大人の休日倶楽部パスを利用している人が随分多いように思った。もっともこのパスは一般的にはシーズンオフのもので、安いことで割り切れば有効である。またの機会を楽しみにしておこう。