48.富山県の灯台

 富山県は富山湾を抱き、沿岸灯台の数は少ないので、防波堤灯台を含め5か所を1泊二日で回ることにした。泊りは黒部宇奈月へ行きたかったが、時間があわず富山市内の天然温泉にした。
 苦労したのは二日目の越中宮崎鼻灯台で、スマホの徒歩ナビで到達できず、地元の人に道順を聞いたが、「今どきは冬眠明けのクマが出るから気を付けて」とまんざら冗談でも脅かし(?)でもなく注意された。途中電気柵があり、自己責任でこれを乗り越えて行くことに「オイ!まじかよ」、灯台巡りも命がけか?と恐る恐る進んだ。灯台では周りを一周し5分もたたず急ぎ降りてきた。最悪の灯台だった。

散策日
令和4年(2022年)5月17日(火)ー5月18日(水)
所 感
今年の五月は雨が多い。1週間前から天気予報と日程を検討し、富山地方の晴れ/晴れで降水量の少ない日を選んだ。幸い雨は降らなかったが、薄曇りで立山連峰は霞がかって少々残念。越中宮崎ではクマの出没におびえ、乗る予定の電車が車両故障で運転停止。なかなか順調にはいかない。
5月17日(火)川越-大宮-(新幹線)-新高岡-(城端、氷見線)-越中国分-<岩崎ノ鼻灯台>-富山-(あいの風とやま鉄道)-岩瀬浜-<富山東/西防波堤灯台>-富山-富山城-富山(泊) 17,148歩(10.3km)
5月18日(水)富山-(あいの風とやま鉄道)-生地-<生地鼻灯台>-(あいの風とやま鉄道)-越中宮崎-<宮崎鼻灯台>-(あいの風とやま鉄道)-能生-<能生港灯台>-糸魚川-(新幹線)-大宮-川越 22,004歩(13.2km)

22.05.17氷見線車中より立山連峰

22.05.17岩崎ノ鼻灯台

22.05.17岩崎ノ鼻灯台

22.05.17野草のコウゾリナ

 大宮駅で駅弁を買い、新高岡、高岡と乗り継ぎ、氷見線で越中国分へ向かう。天候は薄曇りで車中からの立山連峰も少し霞んでいる。高岡駅から数人の旅行客らしいおばさん連中が乗り込んできて、盛んに雨晴海岸の話をしている。雨晴海岸は、海越しに3,000m級の立山連峰を望むことができる絶景ポイント。残念ながら今回はその一つ手前の駅で下車。
 駅から10分ほど歩くと岩崎ノ鼻灯台に着く。灯台前に少しスペースもあり、4月には灯台建設時に移植したという桜が満開になり、「桜の灯台」と言われているとか。
 灯台の周りにはキツネノボタン、ハルジオン、コウゾリナ他野草が咲き乱れる。

22.05.17富山東防波堤灯台

22.05.17富山西防波堤灯台

22.05.17富山城

22.05.17天然温泉剣の湯

 高岡に戻りあいの風とやま鉄道で昼食を摂りながら富山へ出て、路面電車で岩瀬鼻へ行く。富山の灯台は岩崎ノ鼻灯台と越中宮崎鼻灯台で富山湾を抱いていて沿岸灯台は少なく、漁港ごとに防波堤灯台がある。富山東防波堤灯台は防波堤灯台にしては14mもあり結構立派。その左手には赤い西防波堤灯台も見える。ネット記事には灯台下まで行くことができて釣り人で賑わうと書いてあったが、何時の頃からか防波堤は網柵があり立ち入り禁止になっていた。遠くからカメラに収めた。
 再び富山へ戻り、宿の途中にある富山城址公園を散策し、17時半ごろ投宿した。黒部馬月温泉が良かったのだが時間的に無理で、せめて市内でも天然温泉だったので選んだ。この宿は食泊分離形式で、ホテル近辺の提携店で使えるチケットが発行され、晩飯はそこで飲食した。ただし、酒を飲むと大体オーバする。翌日の朝飯は私の勘違いで付けていなかったので、ホテルに帰る前にコンビニで調達した。

22.05.18後立山連峰

22.05.18生地鼻灯台

22.05.18生地鼻灯台

22.05.18ヒメウツギ

 この日は朝から快晴だがこの時期の空はくっきりしていない。車中からの立山連峰もややはっきりしない。富山からあいの風とやま鉄道で生地に向かう。生地駅前にタクシーはいない。歩くと2.1km、結局循環バスを待つ。循環バスで宮川町まで行き、そこから歩くと10分くらいで灯台に着く。灯台はコンクリート造りで白地に2本の黒横帯。高さは30mあり、結構立派な灯台である。しかし灯台周りには民家や電線が邪魔してなかなか全体姿が撮れない。6月には一般公開があるというが、天気さえよければ立山連峰がきれいだと思う。
 バス停に地元の詩人田中冬二の詩碑があった。「石をのせた家々 ほそぼそとほしがれいをやくにほひがする ふるさとのさびしいひるめし時だ がらんとしたしろい街道を 山の雪売りが ひとりあるいている」

22.05.18越中宮崎港防波堤灯台

22.05.18クマ注意

22.05.18宮崎鼻灯台

22.05.18ヒスイテラス

 生地駅に戻り続けてあいの風とやま鉄道で越中宮崎駅に向かう。この駅にはタクシーはおらずバスもないので約2㎞を歩くしかない。灯台巡りに必須なスマホの徒歩ナビで、ちょっと熱くなってきた道を歩く。越中宮崎港防波堤灯台をみて、徒歩ナビがゴール到着を示したが、灯台はこの左手の山の上、しかし道がない、近くにいた道路工事の人に聞くが当然ながら分からない。少し戻り地元の人に聞くと「神社の横から登道があるが、春先はクマが出るから気を付けて」という。顔つきはまんざら冗談でも脅かしでもなさそうで不安がよぎる。確かに神社横に「朝日ふるさと歩道」の案内があり灯台への道を示していた。
 ふるさと歩道を辿るとクマ注意の看板と電気柵があった。いままであちこちでクマ注意の看板は見てきたが、電気柵までは見たことがない。電気柵を超えていくのは自己責任ということか。先ほどの地元の人の言葉が突然現実味を帯びてくる。灯台巡りも命がけか。いっそのこと電気柵内は立入禁止にでもなっていれば諦めて帰るのに。電気柵を外し、それを超えあたりに注意しながら恐る恐る進む。スマホで音楽を鳴らしたが、これが有効なのか分からない。
 予定以上に時間をとられたが、時間的に余裕を持った計画だったので、次の列車の時間に余裕をもって越中宮崎駅に辿りついた。が、ここでアクシデント。12時53分発の列車が車両故障で運行取りやめになっていた。次は13時55分発。この1時間のロスは大きい。ここで思案、①能生港灯台を取り止め予定通りの新幹線で帰宅、②能生港に行き帰りの新幹線を1本遅らせる、③能生港に行き成り行き任せで何とか予定通りの新幹線に乗車。乗り換え案内アプリを駆使して予定キープを目指した。
 電車運行取りやめは仕方ないので、越中宮崎駅前にあるヒスイテラスで1時間昼食と休憩でのんびりした。

22.05.18能生港灯台と鯉のぼり

22.05.18弁天岩

22.05.18能生港灯台

22.05.18立山連峰

 能生に着くと幸い駅前にタクシーが1台止まっていた。歩くと約2km/30分だが、この際タクシーに飛び込み時間稼ぎをした。能生港灯台はすでに廃止になって灯台の機能は停止したが観光地として赤い橋で継がれた弁天岩にある灯台は残されている。また、恋する灯台にもそのまま選出されている。弁天岩を結び鯉のぼりが数十匹泳いでいた。弁天岩にハママンネングサだろうか、黄色い花が咲いていた。
 帰りは徒歩で道端の花を拾いながら能生駅にもどり、予定通りの新幹線で大宮に帰り着いた。二日間立山連峰がいつも見えた。

<後記>
越中宮崎灯台のクマ注意/電気柵は実感として恐怖であった。クマ除けの鈴は持っていないが、これもどれほど効果があるかも不明とか。なにより灯台の周りに木々が生い茂り全体像もみえないので、今まで、また、これからも最悪の灯台かもしれない。帰宅しネットを見たらこの灯台の記事を見つけた。神社横の道、クマ注意、電気柵のことが書かれていた。