57.北海道東部の灯台

 さて北海道にはどのように(飛行機、または列車)行くか?今回も時間はかかっても一番安い大人の休日クラブ東北・北海道パス(新幹線往復、道内乗り放題で26,620円、5日間)を選ぶ。北海道は広い、従って大きく道北、道東、道南に分け、今回は道東に行くことにした。
 灯台巡りをするとき、必ず一つや二つ厄介なことが出てくる。天気は天任せと言うことで、最初の難点は襟裳岬であるが、日高線が21年に廃線になっていた。次の難点は落石岬。JR落石駅から灯台まで(6.3km)の足がない。

散策日
令和5年(2023年)6月30日(金)ー7月04日(火)
所 感
23.07.02落石岬灯台2週間前に切符を手配した。ここで第3の厄介ごと発生。全車指定の「はやぶさ1号」は今までの経験でも混む。ちょっと心配はしていたのだが、心配的中で満席。しかも続く「北斗9号」も指定満席で、最悪大宮から南千歳まで立席になり、7時間立席ではしんどい。第4の厄介はノッカマップ埼灯台。根室から11kmだが、バスは通っていない。当初予定では諦めたが、また来ることもないと未練が残る。
6月30日(金)大宮-(新幹線)-新函館北斗-(函館本線/室蘭本線/千歳線)-南千歳-(石勝線/根室本線)-帯広 8,637歩(5.2km)
7月01日(土)帯広-(十勝バス)-広尾-(JR北海道バス)-襟裳岬-<襟裳岬灯台>-襟裳岬-(JR北海道バス)-広尾-(十勝バス)-帯広 14,514歩(8.7km)
7月02日(日)帯広-(根室本線)-釧路-(根室本線)-落石-(徒歩)-<落石岬灯台>-(徒歩)-落石-(根室本線)-根室 29,442歩(17.7km)
7月03日(月)根室-(根室バス)-車石-(徒歩)-<花咲灯台>-(徒歩)-車石-(タクシー)-根室港-<ノッカマップ埼灯台>-(タクシー)-納沙布岬沙布岬-<納沙布岬灯台>-納沙布岬-(根室バス)-根室-(根室本線/石勝線/千歳線)ー札幌 18,606歩(11.2km)
7月04日(火)札幌-(北海道中央バス)-石狩-<石狩灯台>-石狩-(北海道中央バス)-札幌-(千歳線/室蘭本線/函館本線)-新函館北斗-(新幹線)-大宮 13,232歩(7.9km)

23.06.30大宮駅からはやぶさ7号

23.06.30新函館北斗駅は混雑

23.06.30南千歳駅で野草ハント

23.06.30初めての帯広

 「はやぶさ」は全車指定で満席の場合立券が買えるが、更に南千歳も満席でさすがに辛い。そこで次の8:43発の「はやぶさ7号」にした。こちらは若干余裕があった。宿には19時過ぎになるが、立席よりまし。大宮駅で朝昼2食分の駅弁を買い乗り込んだ。新函館北斗まで3.5時間。新函館北斗駅は乗換客で混雑していた。南千歳の乗換時間に駅前の雑草をいくつか拾った。帯広には18:36着。なんと今日一日は10時間の列車移動だけであり、北海道は遠いとつくづく感じる。
 帯広に降りるのは初めてである。ホテルは駅から少し離れたところにした。周りには何もない。1泊2食付きだから外に出る必要もないが、安いだけでとても女房連れだったら泊まれなかっただろう。

23.07.01広尾鉄道記念公園

23.07.01襟裳岬

23.07.01襟裳岬灯台

23.07.01襟裳観光センター

 襟裳岬へ行くには西からは苫小牧から様似を経ていく日高ルート、東からは帯広から広尾ルートがある。しかし、広尾線は1987年に廃線、日高線は2015年の高波で運休し、そのまま2021年廃線となっていて、車で行くかバスを乗り継いでいく必要がある。どちらにしても時間がかかる。調べると帯広からバスを乗り継ぎ岬に着くので、このルートで行った。帯広7:15発、襟裳岬10:59着の4時間弱のバス移動。何人かバスを乗り降りする客もいたが、どうやら襟裳岬へ行く客はいない。広尾から襟裳岬はJR北海道バスだったので、パスが使えるか聞いてみたらOKと言うので1,580円浮いた。(これはJR職員のミスで、JRバスはパスは非適用)
 襟裳岬は観光地であり、トイレも食堂もあり、土曜でもあり襟裳岬にはそこそこに観光客がいた。帰りのバスは4時間後で、ゆっくり周りを散策し、観光センターで昼食を摂った。ウニ丼が食べたかったがイクラ丼は3,500円の値段を見て断念した。岬には島倉千代子と森進一の歌碑があった。なかなか来れるところではない。
 帰路のJRバスでも聞いてみたが、しっかり「適用できません」と言われ、1,580円を払った。ホテルには19時到着。帯広から襟裳に行くにも一日掛かりである。

23.07.02根室線落石駅

23.07.02野生のシカ

23.07.02落石岬灯台

23.07.02落石港東/西防波堤灯台

 三日目は帯広から釧路を経由し落石へ。釧路は一度来たことがあるがそれより先は初めて。今日は落石から灯台まで片道6.3kmをしっかり歩くつもりで落石に下車。私と地元の人らしい人二人が下車。落石はドラマ「北の国から」で蛍が駆け落ちしたところ。なんとなく近く感じる。下車後次の根室行き電車は5.5時間あるので、なんとかなるだろう。
 途中犬を連れて散歩していた地元の人と「どこまでですか?」「灯台まで」「わー、大変ですね」とか会話して歩いた。漁協を過ぎると上り坂になり、草地には野生のシカがいる。登りきると灯台まで直進1.4kmと案内板があった。ここで徒歩ナビは左道を示す。少し行ったが、徒歩ナビが示す道はどんなものだろうか、予定時間だしそちらに行ってみようと気が変わった。少し行くと「私有地につき進入禁止」という案内板があったが、今更戻れないので、そのまま進んだ。明らかに先ほどの直進道が正解だったが、草原のかすかな歩き道の後を後を辿り進む。雨でも降っていたら大変なことになっていた。灯台が見えたときはホッとした。
 落石岬灯台の形状は普通の灯台の形と異なり四角で白地に赤模様。湿原に建つ灯台の姿は美しい。なお、落石岬はここから少し離れている。帰路は案内の通り木道を歩くが、丸木を横に並べた道は歩きにくい。また、道端の草花を拾っていくので、往路より30分も多く掛かった。

23.07.03花咲灯台

23.07.03車石

23.07.03根室港北副防波堤灯台

23.07.03ノッカマップ埼灯台

 四日目は根室から。駅前からバスで車石入口へ行き、そこから徒歩30分で花咲灯台に着く。花咲灯台は落石岬灯台に似た形で、四角形で白地に赤。近くに車石と言う巨岩がある。当初予定では根室でバスの待ち時間が1時間20分ある。ノッカマップ埼灯台(根室から11km)が気に掛かっており、諦めるか、往復してくるか迷っていた。根室駅で出発前にタクシーの運転手に「ここから納沙布まで(23km)幾らくらい掛かりますか」と聞くと「大体7,000円くらいかな」という。もう来る事もないだろうと、根室港、ノッカマップ埼と経由して納沙布まで行くことにした。
 根室港で防波堤灯台を見てノッカマップ埼まで行ったが、国道から灯台は見えるものの道は風車までしか整備されていない。タクシーはと国道脇で待ってもらい、膝まである草の道なき道を進む。観光地でもないから致し方なし。雨ならとても近寄れなかった。10分程進んでカメラに収めた。

23.07.03納沙布岬灯台

23.07.03貝殻島灯台

23.07.03返還モニュメント

23.07.03返還モニュメント

 納沙布は北方領土返還の最前線である。沖に見える整備もされていない貝殻島の灯台が寂しい。資料館で返還の署名をした。やっとここまで来たかと感無量である。
 昼食はイクラ丼(1,500円)を注文した。帰りはバスで根室に戻り、そのまま札幌に向かった。

23.07.04マウニの丘

23.07.04石狩灯台

23.07.04喜びも。。歌碑

23.07.04札幌駅の鮭めし

 最終日は石狩。札幌BTから石狩へ、徒歩30分。「はまなすの丘」として公園化されていて気持ちの良いところである。白地に横赤帯の灯台は青空に映える。ここにはこの灯台が必須であると思える。「喜びも悲しみも幾年月」の歌碑がある。灯台守の二人の子供が生まれた場所である。映画化に合わせて、白地に赤模様にしたのがそれ以来そのままになったという。
 札幌に戻ると、12時9分発の列車を待つ間に、食べたかった鮭めしを購入した。新函館北斗で新新幹線に乗り換え、21時に帰宅した。

 灯台もさることながら、地方に行くと関東では見られない植物に出会うことがある。スマホで植物名を判別するアプリがあるが、これはあくまで候補で、花だけではなく、葉とかその他の要素も考慮しなければならない。これらを見つけると立ち止まり写真を撮るので、その分時間が掛かる。家に帰ってからゆっくりネットで調べながら名前を特定していく。昔、四国遍路で私が花の写真を撮っているとすぐに5分くらいの差ができて、いつも走って追いついたことが思い出される。とにかく歩きながらも周りに目を配る。

<後記>
今回北海道の灯台を周った。いくつか行きたかった灯台を周れなかったが、仕方がない。次は道北を周るか。なにしろ遠く広い。東北新幹線に備え付けてある旅行雑誌「トランヴェール」の関東エッセイ(柚月裕子)に、時刻表を見ること自体を楽しんで旅行している話があった。少し前の40-50代の男性がまさにその様子で時刻表を見ていた。旅はそれぞれである。