56.瀬戸内海西部の灯台

 前回に続き今回は瀬戸内海西部の島巡りである。毎回起点となる場所があるが、今回は今治で、ここを起点に、大下島(おおげしま)、馬島(うましま)、因島。ハイライトはしまなみ海道サイクリングと佐田岬灯台。この瀬戸内コースは長澤まさみ/高橋一生主演の映画「嘘を愛する女」のロケ地でもある。ミーハー的に言えば、映画の聖地巡礼と言ったところか。
 東京-八幡浜間はジパング3割引+往復1割引き。ポイントは三日目の三崎港で、平日しかバスは走っていない。心配は大下島への欠航だがときおり欠航する程度だから大丈夫だろう(プランBは作ったが)。

散策日
令和5年(2023年)5月20日(土)ー5月23日(火)
所 感
23.05.22愛媛県佐田岬灯台今治は10年前(2013年)、妻と四国歩き遍路で歩いた道。第58番仙遊寺から望むしまなみ海道を覚えている。また、佐田岬は学生の頃、どういう経緯か忘れたが、若い夫婦(新婚旅行だったか?)の車で、ヒッチハイクして、どこまで行ったか定かではないが一度行ったことがある。想い出深い地である。最後まで悩んだ来島梶取鼻灯台をパス、代わりに今治城見学にしたらすっきりした計画になった。
5月20日(土)東京-(新幹線)-岡山-(瀬戸大橋線/予讃線)-今治-今治港-<今治港東防波堤灯台>-(フェリー)-大下島-<大下島灯台>-<アゴノ鼻灯台>-大下島-(旅客船)-今治港-今治 18,680歩(11.2km)
5月21日(日)今治-今治CS-(しまなみ海道)-馬島-<ウズ鼻灯台>-<小浦埼灯台>-<来島洲ノ埼灯台>-<ナガセ鼻灯台>-馬島-(しまなみ海道)-今治CS-<今治城>-今治-(予讃線)-伊予市-<萬安港旧灯台>-伊予市-(予讃線)-八幡浜 28,858歩(17.3km)
5月22日(月)八幡浜-(バス)-三崎港口-(タクシー)-駐車場-(徒歩)-<佐田岬灯台>-(徒歩)-駐車場-(タクシー)-三崎港口-(バス)-八幡浜-(予讃線)-今治 18,533歩(11.1km)
5月23日(火)今治-(高速バス)-因島大橋-<大浜埼灯台>-因島大橋-(高速バス)-今治-(予讃線)-岡山-(新幹線)-東京 14,335歩(8.6km)

23.05.20岡山からアンパンマン列車

23.05.20今治港東防波堤灯台

23.05.20しまなみ海道

23.05.20今治港蔵敷防波堤灯台

 前回同様、東京駅で駅弁、昼食を買うために30分の余裕をみて、早朝5:34発の電車に乗った。東京発7:03「ひかり501号」、ジパング割引を使うので「のぞみ」には乗らない。「ひかり」に乗ると外人が目に付く。前回知ったのだが、ジパング同様外人向けのレールパスがあるという。これが「ひかり」が割引になっており、近々「のぞみ」も開放するらしい。岡山からは松山行きの「しおかぜ」でアンパンマン列車だった。こうした列車は楽しいものである。
 今治まで新幹線4時間、特急2時間だが、これも苦にならない。今治港に到着しフェリーで大下島に向かう。大下島は「おおげしま」と「おげしま」の読み方があるらしいがフェリースタッフに聞くと「おおげしま」というので、そちらを採用した。今治港からはフェリーで大下島に渡る。フェリーから今治港蔵敷防波堤灯台、明日行く予定の馬島のウズ鼻灯台、来島洲ノ埼灯台、小浦崎灯台も見えた。来島海峡は屈指の潮流の速いところだという。潮の流れは時に10ノット(18.5km/h)に達し、鳴門海峡・関門海峡と並び、日本三大急潮に数えられる。航路に沿って灯浮標も数基見えた。

23.05.20来島海峡の灯浮標

23.05.20来島海峡の灯浮標

23.05.20大下島灯台

23.05.20アゴノ鼻灯台

 大下島港から徒歩ナビに従って左に折れる。徒歩10分とあり到着を示すが灯台が見当たらない。さては途中山に登る道があったが、そちらかと、戻り10分進む。しかし、一向に灯台は見つからない、聞く人にも会わない。この大下島灯台は港から10分ですぐ見えるだろうし、徒歩ナビにもヒットしたので、全くノーマークだった。帰りの旅客船に間に合わなくなるので諦めて港に戻るが、途中湾の向こうに灯台が見える。アゴノ鼻は海岸線だから、あれが大下島灯台かと、灯台の場所をきちんと確認しておけば良かったと反省する。せめてもの遠望で写真に収めた。今治市で最も古い灯台で、石造りの八角形の灯塔は非常に珍しく、現存する灯台では唯一となっている。
 アゴノ鼻灯台は「嘘を愛する女」に出てくる。昭和63年設置点灯と新しく、また、灯塔がタイル張りと珍しく、白亜の美しい灯台であった。帰路馬島を過ぎるとき、明日行く予定の来島洲ノ埼、小浦埼、ウズ鼻の灯台が船上から遠望できた。
 夜はホテルで聞いた居酒屋に行ったが満席。別の店に行ったが、客層も店の従業員も若い。徐々に混んできたが、なにしろ手際が悪く、システムがこなれていない。どうも落ち着かなかった。

23.05.21しまなみ海道

23.05.21ウズ鼻灯台

23.05.21馬島トンネル

23.05.21小浦埼灯台

 二日目はサンライズ糸山CC(サイクリングセンター)に行き電動アシストの自転車をレンタルし、しまなみ海道をサイクリングである。天気は良いし眺めは素晴らしく軽快なサイクリングである。しまなみ海道に70kmに及ぶサイクリング道を併設したのは実にいいアイデアである。すぐ隣の馬島は自動車では上陸できず、自転車ごとエレベータで降りる。島内を自転車で走り灯台を巡る(ほぼ灯台ごとに30分)予定で、まずはウズ鼻灯台に行く。馬島の南端に馬島神社があり階段を上ると灯台に行けるが、周りに木々があり眺望はよくない。昨日船から撮った写真の方がまだましかなと思う。灯台のビューポイントがあることが何よりなのだが。
 続いて小浦埼灯台、ここは馬島BS(バスステーション)からも近くに見える。空き地に入り、道なき道を進む。尾根筋に出ようと思い雑草と藪の中を進むが、道は見つからず、途中で方向を間違え舗装道路に出てしまった。間違ったと思い、あっさり小浦埼灯台は諦め馬島トンネル前に引き返した。馬島BSからは目と鼻の先なのに、ここから撮った写真で我慢しよう。

23.05.21来島洲ノ埼灯台

23.05.21ナガセ鼻灯台

23.05..21中渡島灯台

23.05.21ヒナイ鼻導灯(後灯)

 続いて来島洲ノ埼灯台へ。道ははっきりしないが比較的楽に尾根筋に出ることができた。ただ、やはり灯台全形を見る場所なく木々が邪魔をする。
 続いて橋梁の反対側にあるナガセ鼻灯台へ行く。灯台に行く道はかなり急な坂道で途中ロープが張られている。相当厳しい道である。ナガセ鼻灯台からは対面で中渡島灯台が見える。
 これで4灯台を周ったが、時間的に余裕があり天気もいいし、馬島から更にしまなみ海道を進んでみようと、来島海峡大橋(ほぼ4km)を自転車で走った。大島手前で、ヒナイ鼻導灯(前後)が見えた。

23.05.21今治ドック

23.05.21今治城

23.05.21萬安港旧灯台

23.05.21郡中港西防波堤灯台

 CCでレンタル自転車を返すとタクシーで今治城へ向かった。運転手が「ドックに行きましたか?」と聞くので、ドックに寄ってもらった。タンカーに特化しているというが造船会社が連立していて規模を感じる。
 今治城は100名城にも指定されており、綺麗な姿をしている。今治の戻り伊予市で下車。萬安港旧灯台に立ち寄る。今は使われてはいないが、灯台の歴史を感じさせる。五色浜海浜公園、郡中港西防波堤灯台にも立ち寄り、八幡浜に到着した。
 日曜の夜と言うことで、商店街の店はほとんど閉まっていた。客のいない居酒屋に入ったが、どうもゆっくりする気が起こらず早々に引き上げた。

23.05.22佐田岬灯台

23.05.22佐田岬灯台

23.05.22佐田岬灯台

三崎港三崎第一防波堤灯台

 是非ここだけは行きたかった佐田岬である。いままでの灯台の中でも、1,2位ではないだろうか。ただ如何せん交通が不便である。八幡浜から三崎港口までバスで行き、そこからはタクシーで行くしかない。さらにその終点から遊歩道を30分歩く。途中に椿山展望台があるが、ウバメガシが繁茂し、景観を損なっている。展望台だからもう少し木を切って欲しい。すぐ横にある御籠島から見る灯台は実にいいビューポイントで、ここで随分時間を過ごした。砲台跡があるがあんな砲台で当たるのかと疑問に思う。
 佐田岬は学生の頃四国旅行に来て、おそらく八幡浜で若い夫婦と知り合い先端までヒッチハイクで来たことがある。どうのように知り合ったか、どこまで行ったのか記憶にない。ただ道の両方が海が見えた記憶がある。どうも灯台までは行っていないと思うのだが。
 三崎港口でバスを待つ間じゃこ天カツで酒を飲んだ。じゃこ天がうまかった。夜の居酒屋はホテルで聞いた店に入ったが、従業員の若い女性がどうも中国人。中国人が悪いというのではないが、とにかくニコリともせず愛想が悪い。愛想良くすることが損とでも思っているんだろうか、店も何も言っていない様子。酒もまずくなる。

23.05.23大浜埼灯台

23.05.23大浜埼灯台通信所

23.05.23バスから下小丸子灯台

23.05.23車窓より丸亀城

 最終日はしまなみ海道を広島に向かい、因島大橋で降りた。そこの喫煙所で財布を拾った。困るだろうに中を見ると免許証も入っている。住所は分るが電話番号は分からないので、財布をスタッフに預け、道を聞きて灯台に向かった。大浜埼灯台は残念だが、設置場所が低すぎる。よっぽど3つ屋根の通信所の方が目立つ。
 高速バスで今治に戻るとき、左手に灯台が見えた。下小丸子灯台である。今治に戻り、「しおかぜ」で岡山へ。岡山でどうしても食べたい駅弁「あなごめし」を買い、岡山から東京に戻った。

 今回行ければ行こうと思ってチェックした灯台がいくつかあった。佐田岬灯台に至る佐田岬半島には先端に行く前にいくつか小さな灯台が半島の両側にある。(襖鼻灯台、見舞埼灯台室ノ鼻灯台、女子鼻灯台)しかし、往復のバスは1日3本でとても回れる場所ではないので、最初から除外した。
 次に、松山三津浜港から行く釣島灯台。明治6年初点のAランク保存灯台ではあるが、船は1日1往復。島で6時間も時間をつぶす必要がある。効率を考え断念した。
 最後まで迷ったのが、来島梶取鼻灯台。今治からバスで宮崎入口まで行き、そこから徒歩5.3kmの往復か、波方駅約8kmをタクシーか。ここも前後の行程の関係とそこまでしていく灯台かと諦めたが、これで行程がすっきりした。
 四国は足摺、室戸は遍路で歩いたし、牧野植物園に行き高知灯台などを周ってみたいが、またいずれかのときにしようと思う。

<後記>
今回灯台下に辿りつけなかった場所が2か所あった。いずれももっとも近い場所であった。事前チェックが甘かったのだが、辿りつけなかったのは初めてである。事前チェックをしっかりやる必要がある。本州はあと越前岬灯台と経ケ埼灯台だが、6月はチケットの関係で北海道に行こうと思う。