50.愛知・三重県の灯台

 今回は愛知県から三重県をまわる。大都市近郊は、公共交通機関の便数も多く便がいい。一日に2灯台をまわり、3泊四日で8灯台をまわる。また、この経路には登れる灯台が2つ、島の灯台が2つも含まれている。
 天候は二日目に少々降られ、伊良湖岬灯台は小雨の中だった。だが、四日目の猛暑は厳しく水ばかり飲んでいた。安乗埼灯台は周りが緑化、公園化されており気持ちの良いところだった。概ね予定通り進行したが、細かいミスはつきもので、何度か道を間違えた。多少の時間的余裕をもっていたので、何とかたどり着いた。

散策日
令和4年(2022年)7月1日(金)ー7月4日(月)
所 感
今回は温泉はなかったが、登れる灯台(安乗埼、大王埼)、島の灯台(神島、菅島)、思い出の伊良湖岬と盛り沢山のコース。あまり苦労する道のりもなく回ることができた。灯台の灯がGPSの発達で徐々に消えていくというが、何とか残したい施設である。高い施設は煙突や電波塔もある。でもなぜ灯台であるのか。灯台を見ながら思いを寄せた。
8月5日(金)東京-(新幹線)-名古屋-(名鉄線、バス)-野間-<野間崎灯台>-野間-(バス、名鉄線)-蒲郡-(バス)-西浦温泉-<橋田鼻灯台>-西浦温泉-(バス、東海道線)-豊橋(泊) 20,163歩(12.1km)
8月6日(土)新豊橋-(名鉄線、バス)-伊良湖岬-<伊良湖岬灯台>-伊良湖岬-(高速船)-神島-<神島灯台>-神島-(鳥羽定期船)-鳥羽(泊) 28,288歩(17.0km)
8月7日(日)鳥羽-(鳥羽定期船)-菅島-<菅島灯台>-菅島-(鳥羽定期船)-鳥羽-(名鉄線)-鵜方-(バス)-<安乗埼灯台>-鵜方(泊) 25,267歩(15.2km)
8月8日(月)鵜方-(バス)-片田-<麦埼灯台>-片田-(バス)-大王崎-<大王埼灯台>大王埼-(バス)-鵜方-(名鉄線)-名古屋-(新幹線)-東京 14,752歩(8.8km)

22.08.05名鉄野間駅

22.08.05野間埼灯台

22.08.05野間埼灯台の絆の鍵

22.08.05今回の旅の花クサギ

 朝6:05発の電車で出立、東京駅で駅弁を買い、まず名古屋へ向かう。名古屋で名鉄に乗り換え野間へ向かった。名鉄に乗るのは何年振りだろう。天気は晴れたり曇ったりで、それほど暑くもなくまあまあである。下車客はいつもの通り私一人、乗客は野間で40分ほど待ち市営バス(無料)で野間埼灯台の目の前に着く。
 野間埼灯台はすっきりした中型の灯台で3方向から写真を撮る。ここは登れる灯台にチャレンジしている。「絆の鍵」(南京錠に願い事を書き錠をかける)や、灯台の姿も綺麗だし、場所的にも悪くはないが、何かこじんまりまとまっている感じがする。通り沿いにありちょっと休憩にはいいがわざわざ来る客は少ないかもしれない。
 道端に白い花が咲いていた。近寄るとクサギでこの旅の至る所で見かけた。ベンチにかけ灯台を見ながら昼食を摂る。1時間ばかりいてまた市営バスに乗り野間に引き返した。野間から再び名鉄に乗り蒲郡へ向かう。順調な滑り出しだった。

22.08.05倉舞港沖防波堤灯台

22.08.05橋田鼻灯台

22.08.05ハマユウ

22.08.05豊橋駅前アーケード

 出発前に一番調べたのは次に行く「橋田鼻灯台」、灯台がホテルの敷地内にあるというのは、どうも気にかかる。蒲郡で名鉄を降り、30分ほどで西浦温泉に着く。今回は時間がないので温泉を楽しむ余裕はない。西浦温泉のバス停につくと正面の道はさらに急な登り坂になっている。温泉客はさらにここから組合のバスが温泉宿まで送り迎えするらしい。徒歩ナビを見ると、右手の海岸通りから橋田鼻自然遊歩道からの道を示していた。ネット記事にも遊歩道の記事があったし、ナビを信じて楽そうな遊歩道を選ぶ。
 初めは海岸沿いの道を防波堤灯台などを見ながら進んでいったが、いくら行っても灯台が見えない(気が付かなかっただけか?)遊歩道の終わりまで来て振り返れば「ホテルたつき」の看板が見える。これは行き過ぎた、と思い近くを歩いていた人に聞くがどうやら外国人。話が通じず、引き返す。これで2度目、ナビは灯台の下までは誘導するが、灯台は山の上にあり、その登り道がない。そういえばホテルの階段が遊歩道に通じているという記事があったので、途中で見た階段まで戻ったが、鉄柵は錆び落ちているし、遊歩道から階段に行くにも大きな岩を超えなければならない。とてもまともな道ではない。気持ちも萎えたが、しかし、ここしかなさそうなので、ビクビクしながらその階段を上る。ホテルの裏側に出たが、ホテル棟は閉館したのだろうか荒れ放題。やっと木々の間から灯台が見えた。これでは下から見えないのも当然か。灯台は柵に囲まれ木々が生い茂り近寄れない。荒れたホテル棟の3階まで登ることができたのでそこから写真を撮った。どうやら今はここがベストポジションのようだ。表に回るとホテルは営業しており、フロントに無断で入ったことを詫び、今度はホテル正面からの上り下りの急坂道で戻った。行かれる方には遊歩道ルートはお勧めしない。
 蒲郡から豊橋に出て、ホテルに入る。ホテルで聞いた居酒屋は本日予約貸し切りで入れず、カウンターに灰皿が出ていた店で夕食をとった。

22.08.06伊良湖港防砂提灯台

22.08.06伊良湖岬灯台

22.08.06伊良湖岬灯台

22.08.06伊良湖港神島行高速艇

 ホテルの朝食が6:30からで早々に済ませ、三河田原でバスに連絡している6:53の電車で新豊橋を出た。空は曇っているが今日の天気は危ない。三河田原では陽も出ていたが伊良湖に着くころにはパラパラ落ちてきた。伊良湖ではゆっくり思い出に浸るため十分な時間を取った。40年前初めて家族旅行した場所であるが、さすがに当時の面影はない。辺りが観光地になっているのでそこそこの人が出ている。旅客ターミナルから10分ほどの遊歩道沿いにある灯台は思ったほど大きくはなかったし、塔がサビで汚れているのはいささか興覚め。近くに日帰り温泉でもあれば入ったが見当たらない。
 灯台の背景にある島は次に行く神島で、よく見れば神島灯台が見えるが気が付かなかった。ターミナル内で昼食を摂り、13:00発の高速艇で神島に向かうが、船が小さい。客は十数人で一杯になり、私以外はすべて釣り客である。聞くと今日明日神島で釣りを楽しむらしい。

22.08.06神島港「潮騒」碑

22.08.06神島八代神社階段

22.08.06神島灯台

22.08.06神島監的哨

 伊良湖港から神島港までは高速艇で17分くらいで着く。島を一周する遊歩道もあり、港から神島灯台までは道標もしっかりしている。神島全体で三島由紀夫の「潮騒」の島と化している。歩き始めてから20分ほどで灯台に到着する。八代(やつしろ)神社からの数百段の階段はきつい。途中からまた雨が降ってきた。灯台で休んだあと、監的哨(陸軍が砲弾の着地点を観測した施設)に行くことにした。ここは潮騒のクライマックスになった場所とあれば行くしかあるまい。
 15:50発の鳥羽行きの船に乗る。途中明日行く予定の菅島へも寄るが最終便なのでそのまま鳥羽へと向かう。船上から明日行く菅島灯台が見える。明日もあそこまで登るのかと思う。16:30鳥羽港に到着、鳥羽の日帰り温泉に寄る案も考えたが、今日は疲れたのでそのまま旅館に向かった。明日の朝食は7:00からだとネットにあったが、行ってみると7:30からだという。それでは7:55発の船に厳しい。少し休憩して風呂に入り、夕食に出かけたが、港の周りに店も少なく、海鮮の定食屋はあるが居酒屋がない。大分ブラブラしたが結局定食屋で酒2本で夕食を済ませた。

22.08.06菅島港北防波堤灯台

22.08.07菅島灯台

22.08.07菅島灯台

22.08.07菅島灯台初照銘板

 この旅館の朝食は仕出し弁当で、7:30になっても出そうにないのでキャンセルして宿を出た。建付けも悪く、1フロア階段で上がらなければならず、この朝食準備で最悪である。
 菅島港の北防波堤灯台の背景に、菅島灯台をモチーフにした小学校がある。菅島灯台は「日本の灯台50選」に選ばれている。また、現役では日本最古の煉瓦造灯台であり、建設当初の姿を現在に伝える歴史的・文化的価値の高さから、Aランクの保存灯台に指定されている。独特のズングリした塔映を見せる。1873年(明治6年)7月1日に、現在の洋式灯台が初点灯したが、これは、「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計によるレンガ造灯台で、国産の赤煉瓦を使っており、竣工式には、西郷隆盛など当時の政府高官が多数列席したとのこと、灯台の重要性と歴史を感じる。

22.08.07安乗埼灯台

22.08.07安乗埼灯台

22.08.07安乗埼休憩舎

22.08.07安乗埼大倉島消波提灯台

 安乗埼灯台は1948年(昭和23年)8月に、現在の四角形の鉄筋コンクリート造(高さ12.7m)に建て替えられた。「日本の灯台50選」にも選ばれており、登れる灯台でもある。周辺は、伊勢志摩国立公園に指定され、リアス式海岸の造形する風光明媚の地で、灯台前は広い緑化地帯、無料の駐車場、出入り・持ち込み自由で軽食、飲み物を出す休憩舎も揃っている。今までで一番環境の良い灯台である。海風に吹かれながらベンチに腰掛けしばしゆったりとした。
 帰り道、たまたまこれからご近所の人が集まり飲み会が始まる雰囲気に気を取られ、灯台口のバス停を見落とした。もうすぐ着くはずと思いつつ、行き過ぎたことに気づいた。最終だし乗らなければ困ると思い来た道を戻ると、先ほどの家のすぐ先にバス停はあった。折角安乗埼灯台でよい思いをしたのに、汗だくである、隣では乾杯が始まっていた。ホテルに着いたらまずビールを飲もう。
 鵜方(うがた)に戻り今日のビジネスホテルに入ったが、入口が3階でエレベータもない。教えてもらった店も休みで、どうも今回はホテル選びと夕食は失敗したようだ。

22.08.08片田港南防波堤灯台

22.08.08麦埼灯台

22.08.08大王崎灯台

22.08.08八幡さんより大王崎灯台

 今日は朝から好天気。鵜方駅から大王崎を経て麦埼に向かう。麦埼灯台はバス停から道標が出ていて迷うことはない。海沿いに進み、なだらかな登り道をいく。木々を抜けるとすぐの岬の突端に灯台が現れる。今日も一人である、と思っていたら地元の老人がスクータで食べ物と飲み物をもって東屋の方に行った。辺りには畑もなく、農作業ではなく弁当を持って一人静かに海を見に来た感じである。私も海を見ながら朝食にした。
 今回の旅の最後の灯台、大王崎灯台に向かう。往路通過した大王崎で下車。しかし今日は暑い。灯台前のだらだらと続く坂道を登っていく。両側に土産物屋が並んでいるが、開いているのは真珠の店ばかり。登れる灯台で海景色を堪能し、途中通り過ぎた八幡さんに寄る。絵描きの銅像があり、灯台を見る絶好の場所になっている。帰り道、飲み物がなくなり、開いている真珠屋で水をもらおうとしたら、お茶缶をごちそうになった、感謝。駐車場でバスを待つ間、アイスを買い、駐車場を管理しているおばさんとしばし談話する。
 さあ、これで今回の8灯台巡りは終わりである。なかなか効率的に回ることができた。思い出の伊良湖岬にも行けた。温泉はなかったが、とりあえず満足のいく旅であった。

<後記>
これからは、なかなか今回のように効率的に回るのは難しいかもしれない。灯台を巡り旅はまだまだレアで、そう多くの人はいない。しかし、これからも続けていきたい。次は北陸かな?北海道や九州はどうしようかとも思っている。