51.東北の灯台③

 通常JR東日本の大人の休日クラブフリーパスは、一年で三回シーズンオフに発行される。今年はこれに加え2回特別フリーパスが3月、9月に発行される。3月の時は気が付かなかったが、9月8日歯医者に行った折、駅でこのキャンペーンを知った。すでに9月分は発売開始され、期限は14日。これはと思い、天候は必ずしも良好ではないが、計画してためておいたものから急遽練り直し東北の4か所をまわることにした。

散策日
令和4年(2022年)9月11日(日)ー9月14日(水)
所 感
今回も温泉はなく、一泊四日。翌日が仙台、新潟ならばわざわざ宿泊せず一旦帰宅し宿泊費を浮かす行程で、フリーパスを存分に使う案である。ホテルの予約、電車/バスの曜日の運行を考慮し、日程を組んだ。
9月11日(日)川越・大宮-(新幹線)-新青森・青森-(津軽線)-蟹田-(バス)-平舘灯台前-<平舘灯台>-平舘地宇内前-(バス)-蟹田-(津軽線)-青森-(青い森鉄道)-野辺地-(大湊線)-下北-(バス)-陸奥バスターミナル(泊) 14,173歩(8.5km)
9月12日(月)陸奥バスターミナル-(バス泊線)-押付-<白糠灯台>-押付-(バス泊線)-陸奥バスターミナル-(バス)下北ー(大湊線)-野辺地-(青い森鉄道)-八戸-(新幹線)-大宮・川越(帰宅) 9,348歩(5.6km)
9月13日(火)川越・大宮-(新幹線)-仙台-(常磐線)-相馬-(バス)-浜の駅松川浦-<鵜の尾埼灯台>-浜の駅松川浦-(バス)-相馬-(常磐線)-仙台-(新幹線)-大宮・川越(帰宅) 20,506歩(12.3km)
9月14日(水)川越・大宮-(新幹線)-新潟-(越後線)-巻-(バス)-角田妙光寺入口-<角田岬灯台>-角田妙光寺入口-(バス)-巻-(越後線)-新潟-(新幹線)-大宮・川越(帰宅) 19,306歩(11.6km)

22.09.11青森駅のネブタ

22.09.11津軽線蟹田駅

22.09.11平舘灯台

22.09.11平舘灯台

 大宮駅で駅弁を買うのと乗車前煙草のため、少し早めの朝5:41発の電車で出立。大宮から一番のはやぶさ1号に乗車。直前だったのでB席、早い時間なのに結構混んでいる。天気は曇りだがまあまあ。先日の東北地方の大雨で、奥羽本線の一部と蟹田/三厩間が止まっているという情報に少々不安だった。青森駅は東北地方に行くときよくキー駅になる。幸い新青森/青森駅間は通常運転、津軽線も蟹田までは走っていた。蟹田に近づくと車窓から津軽海峡の海が見える。今回最初に行く灯台は平舘(たいらだて)灯台。蟹田で下車、平舘地区バスで乗客4-5人を乗せ平舘灯台前に向かう。
 バスに乗って暫くして気が付いた。ワンマンの下車ボタンがない、バス停の案内がない。運転手は無口で案内もない。発車してから15分もノンストップ、ぼちぼち不安になってくる。一人の女子高生が下りた。客も運転手も何も言わずパスも見せず。乗車時にすでに降車場を伝えていたのか、私は「灯台に行きますか?」と聞いただけだが。このバスは時刻表が蟹田駅、平舘支所、元宇田しか掲載されておらず、あとはフリー乗降になっている。バスを降りて次のバスが来るのは推定で20分しかない。途中運転手が交代するというので5分待たされ残り15分、少々不安で焦った。しかし、バスは灯台の眼の前で止ってくれた。
 白いすっきりした形の灯台で、周りは緑化されていて気持ちが良い。海をバックにしたアプローチがないのが残念。数組の人達が海風を楽しんでいた。

22.09.11史跡平舘台場跡

22.09.04キツネか?

22.09.04蟹田の海

22.09.11蟹田港東防波堤灯台

 灯台の横には平舘台場跡がある。1847年平舘に異国船が来たのを機に弘前藩が砲台を設置した跡である。「?」「キツネか?」こんなところにキツネがいようとは。バス停もないので灯台前に予想時間にバスを待った。時間があればここでゆっくり昼食と行きたいところであるが。予想より5分遅れでバスが来た。帰りのバスの車窓から蟹田港東防波堤灯台が見えた。一人の若者が乗ってきて「・・・!」と言って、何事もなくそこで降りて行った。私には通常のワンマンの方が安心で落ちつける。

22.09.12白糠灯台

22.09.12センニンソウ

22.09.12白糠灯台

22.09.12白糠港沖防波堤北灯台

 以前、白糠灯台(別名物見埼灯台)は六ケ所村にあるので野辺地から下北バス六ケ所線で行くものと思っていたが、前回たまたま入った下北の観光案内で、白糠灯台へはむつバスターミナルから泊線で行き押付(おっつけ)下車で行くことを知った。知らぬまま行っていたらどうなっていたか。むつBT発7時半に乗るにはBT近辺に前泊しなければならない。しかしBT近辺のビジネスホテルは日曜しか空きがない。これがマスト①の日程要因であった。
 前日平舘灯台から下北に来てビジネスホテルに宿泊した。下北駅近辺には繁華街がないようで、BT近辺に宿泊するのは都合がよい。ホテルに入り近辺の居酒屋に行く。たまたま隣り合わせた男性と話をすることになり、趣味の話をいろいろした。定年間近で残るか去るか考えているというので残るよう進言した。灯台巡りの話をしたら興味を持ったようである。酒を飲みながらこうして見ず知らずの人と話すのも楽しい。一人旅でこれほどしゃべるのも珍しい。
 翌日ホテルで朝食を済ませ、私一人を乗せてバスは出発した。約一時間をかけてバスは押付に停車。そこからは徒歩10分くらい。ここも綺麗な灯台だった。帰りに白糠港沖防波堤北東地を見た。帰りのバスは私ともう一人客がいたが、とにかくバス乗客は心配になるほど少ない。BTに着くと乗り換えは20分だがバスはない、BTと下北駅が離れているのが恨めしく、下北発11:52を逃すと2時間の空き時間ができてしまう。幸い前日タクシー待機場所を調べていたので、スムーズに下北へ行けた。あとは野辺地に出て八戸、大宮を経て自宅に帰り着いた。明日は福島だから宿泊費/夕食費を節約した。これもフリーパスだからこそできる日程である。

22.09.13相馬港松川浦大橋

2.09.13回り道

22.09.13灯台遠望

22.09.13崖崩れ跡

 13日朝改めて出発。仙台で乗り換え常磐線で相馬に行く。相馬駅とバス停の福島交通営業所は徒歩2分くらい。下北もこれくらい近くであればいいなと思う。営業所発12:25発のバスは日曜は運休のため平日にした。これがマスト②。浜の駅松川浦で下車。タクシーがいればと思ったがタクシーの姿は見えない。松川浦大橋を渡り進むと、崖工事中で回り道の案内がある。途中崩れあともあり、徒歩では行けたが、車は回り道をしても通行禁止となっている。海辺に出ると灯台の姿が見える。

22.09.13遭難慰霊碑

22.09.13鵜の尾埼灯台

22.09.13鵜の尾埼灯台

22.09.13相馬港松川浦南防波堤灯台

 トンネルを通過すると津波避難誘導標があり灯台への道を示す。神社を通過し、上り詰めると道は左右に分かれ、右へ行くと遭難慰霊碑があり、灯台を横から見ることができる。ただし灯台前の一本の松の木が邪魔であった。途中蜘蛛の巣を払いながら進んだので人が通っていない。分岐点に戻り今度は左に行きしばらく進むと木々の間から灯台が姿を現す。しかし、近すぎて、格好の写真を撮る場所はない。帰路の途中、海の先に相馬港松川浦防波堤灯台、さらにその向こうに相馬港沖防波堤北灯台が見える。
 再び浜の駅松川浦に戻り、アイスを買って休憩し、タバコを吸いながらバスを待った。相馬、仙台に戻り、おおみや、川越を経て、この日も帰宅した。

22.09.14越後線巻駅

22.09.14角田山と灯台

22.09.14角田浜

22.09.14角田岬灯台

 今日も家から出立。新潟を経て越後線巻駅で下車。初めて来るところだし、今後も来ることはないだろうと思う。だが、ここの灯台にはぜひ来たかった。角田山は登山でも親しまれているようで、途中何人かの登山者とも会った。角田浜の海の色は濃い青で、空の青とよくマッチしていた。灯台自体は12mあまりで大きくはないが、岬の突端に海と空を背景にする立ち位置が素晴らしい。ここでは灯台に来る人もちらほら見かけた。

22.09.14角田岬灯台

22.09.14角田岬灯台

22.09.14判官舟隠しの洞穴

22.09.14クズの花

 角田浜から100数十段の階段で灯台まで上がる。でここでは灯台下より少し角田山に登り青い海を背景にする写真が見栄えがいい
 角田浜の反対側に降りて、「判官舟かくし」の洞穴を見る。源義経が兄である頼朝の追討を受け、奥州・平泉に海路落ちのがれる際、追手を避けて舟とともに身をかくしたと伝わる洞穴である。確か能登半島に行った時も同じような舟かくしがあった。どれも実際には定かではないというが。帰り途中でクズの花を見かけた。毎年この花を見ると秋を感じる。

<後記>
JR東日本のフリーパスを使っての灯台巡りは、大分交通費を節約できる。ほかの地区にもフリーパスがあればよいのにと思う。それにしても公共交通機関を使うのは、交通事情の良い地区を除き、一日一灯台が精一杯である。