55.瀬戸内海東部の灯台

 今回は瀬戸内海東部の島巡りである。毎回起点となる場所があるが、今回は高松港。高松港を起点に、男木島(おぎじま)、女木島(めぎじま)、小豆島、淡路島、和歌山に出て友ヶ島と巡った。幸い天候にも恵まれ、桜も満開から散り始めの時期であったし、細かい手違いやトラブルはあったが、概ね予定通り回ることができた。前回和歌山で友ヶ島に行けなかったが、今回は何とか渡ることができた。まずまずの灯台一人旅であった。

散策日
令和5年(2023年)3月31日(金)ー4月3日(月)
所 感
東京-高松間はジパング3割引+往復1割引きを使い、新大阪-和歌山間はジパング規定に足らず、一部運賃は重複するが新神戸-京都の切符にしてジパング3割引を使い約2,000円弱浮かせて行程を組んだ。ただ心配は友ヶ島汽船で、和歌山に行って欠航になると残念なことになる。こればかりは天候次第。小豆島の地蔵埼灯台はタクシーが手配できず徒歩、淡路島の江埼灯台はタクシーが手配できた。
3月31日(金)東京-(新幹線)-岡山-(瀬戸大橋線/予讃線)-高松-<高松港玉藻防波堤灯台>-高松-(男木島フェリー)-男木島港-(徒歩)-<男木島灯台>-(徒歩)-男木島港-(男木島フェリー)-高松港-高松城址 27,988歩(16.8km)
4月1日(土)高松港-(池田港フェリー)-池田港-(町内バス)-神浦西-(徒歩)-<地蔵埼灯台>-(徒歩)-神浦西-(町内バス)-池田港-(池田港フェリー)-高松港-(女木島フェリー)-女木港-(自転車)-<女木島灯台>-(自転車)-女木港-(女木島フェリー)-高松港 30,899歩(18.5km)
4月2日(日)高松-(予讃線)-坂出-(バス)-浦城-<鍋島灯台>-浦城-(バス)-坂出-(瀬戸大橋線)-岡山-(新幹線/神戸線)-舞子-(高速バス)-淡路IC-(タクシー)-<江碕灯台>-(タクシー)-淡路インタ-(高速バス)-新神戸-(新幹線/阪和線)-和歌山 15,412歩(9.2km)
4月3日(月)和歌山-(紀勢線)-和歌山市-(南海線)-加太-(友ヶ島汽船)-友ヶ島港-(徒歩)-<友ヶ島灯台>-旧第3砲台跡-(徒歩)-友ヶ島港-(友ヶ島汽船)-加太-(南海線)-和歌山市-(紀勢線)-和歌山-(阪和線)-新大阪-(新幹線)-東京 23,938歩(14.4km)

23.03.31高松駅

23.03.31高松港玉藻防波堤灯台

23.03.17高松港朝日町外防波堤南灯台

23.03.31男木島・女木島フェリー

東京駅で駅弁、昼食を買うために30分の余裕をみて、早朝5:34発の電車に乗った。東京発7:03「ひかり501号」、ジパング割引を使うので「のぞみ」には乗らない。岡山で乗り換え高松に12:07到着。高松には8年振りだが、こんなに近代的になっていたか。男木島へのフェリー14:00発なので、最初に高松港玉藻防波堤灯台に行く。玉藻防波堤灯台は、防波堤灯台と言ってもかなり立派なもので、朝日町外防波堤南灯台、外防波堤北灯台も見える。別名赤灯台と言われ、高松に宿泊するので、夜灯台が赤く輝く姿も見たい。天気はいいし、海風が気持ちよい。海を見ながら昼食を摂った。

23.03.31男木島灯台

23.03.31男木港一文字防波堤灯台

23.03.31高松城址桜御門

23.03.31高松城址艮櫓(うしとらやぐら)

 フェリーで女木島(めぎじま)を経由して男木島(おぎじま)に着く。灯台まで1.7km、歩くしかない。この灯台はブラントン離日後の1895年、日本人独力で建設された総御影石(庵治石)造りで、日本に2基しかない無塗装の灯台の一つ(もう一つは角島灯台)。歴史的文化財的価値が高いAランクの保存灯台で、日本の灯台50選にも選ばれている。周辺は瀬戸内海国立公園に指定され、灯台からは明石海峡に次いで全国第2位の交通量の船舶を望むことができる。
 灯台前に軽自動車が停車していて、16時を過ぎると今まで社内で居眠りしていた老人が徐に施設の施錠を始めた。フッと帰りに乗せてもらおうかとスケベ根性が頭をもたげたが、謙虚に控えた。港への帰路、道の隅によける私を追い抜いて走り去った。
 高松に戻ると、ホテルに行く前に高松城址に寄り道する。天守閣はないが、石垣、櫓、門などがあり、ぐるりと回った。城外に夜桜を楽しむ一角があり、シートを敷いたグループがいた。ぼちぼち散り始めだろうか。

23.04.01地蔵埼灯台

23.04.01女木港鬼ヶ島防波堤灯台

23.04.01女木島灯台

23.04.01夜間の玉藻防波堤灯台

 二日目は6:50高松港発のフェリーで小豆島池田港に行く。小豆島は思い入れのあるところで、昔高校の修学旅行で訪れた。寒霞渓で雪が舞ったのには驚いた。8年前小豆島八十八か所巡りの計画をしたが、妻の病が発覚して断念した。今回はそこに一人で来る。
 池田港から町営バスで神浦西(こうのうらにし)まで行き、そこからは地蔵埼灯台まで徒歩3.7kmである。タクシーは事前に調べたが、10数km迎えに来て4kmの走行では商売にならないようで暗に拒否された。最初の計画ではここではなく大角ノ鼻灯台にいくつもりだったが、直前に大角ノ鼻は草茫々との記事を見て地蔵埼灯台に変えた。両方回る時間はない。まあ天気もいいし歩くのも左程苦にならない。バス停で福島から来た看護学生たちとちょっと立ち話。歩き始めると向こうから50代くらいの小父さんが歩いてきて、「どちらまでですか?」と聞いてくる。「灯台です」と応えると「私も今行ってきたところです」と言う。妻と一緒に歩けなかった小豆島を一人歩く道中、後ろに妻が歩いているような錯覚に捕らわれる。
 地蔵埼灯台は釈迦が鼻園地の先に建って居て、風光明媚なところ。残念ながら灯台は1.5m程のステンレス/金網策で厳重に囲われている。灯台敷地内立ち入り禁止はよく見かけるがこれほど厳しい囲いは初めてである。滞在中別々に二人来たが、いずれもバイクであった。帰路のバス運転手と出発前に雑談したが、「時折灯台に行く人はいるが、歩いていく人はいないな」と言われた。
 池田港に戻り13:00発のフェリーで高松港に戻る。高松港に着くと同時刻に女木島行きのフェリーが出発した。次の15:10発のフェリーの予定だったが、ちょっと気に掛かり時刻表を見直すと、15:10発は夏運航便で、次は16:00発となる。女木島には1時間しか滞在できない。女木島港から女木島灯台まで1.8kmは歩こうと思っていたが時間が無くなった。女木島にはレンタサイクルがあるから、これを利用しようと予定変更。初めて利用する電動アシスト自転車である。しまなみ海道に行くときは電動アシストを使うつもりだからその練習だと、使い方が良く分からないながらも、灯台往復をした。女木港入口にある「鬼ヶ島防波堤灯台」を間地かに見て、高松港へ戻った。夜は赤灯台まで散策した。

23.03.31車窓から鍋島灯台

23.04.02鍋島灯台

23.04.02桜と江埼灯台

23.04.02江埼灯台

 三日目は高松を後にして坂井で出て、バスで与島の隣の鍋島に行く。浦城(うらじょう)でバスを降り10分も歩けば鍋島の灯台に着く。この灯台は岡山から高松に向かう電車の左手に車窓から見える。島の中に私一人、灯台を眺めながらコンビニで買った朝食を摂る。再びバスで坂出に戻り、マリンライナーで岡山に出て西明石に行く。
 このルートも最初は新神戸に出て高速バスで行くつもりだったが、西明石で降り、神戸線で舞子に行き、そこから高速舞子で高速バスに乗った方が安いし早い。淡路インターにタクシーを呼んでいたが30分早めてもらい、13:22には江埼灯台についた。中型で高くはないが真っ白で周りの桜がが風に散る様は時間を忘れるほどである。帰りは再びタクシーを呼び淡路インターから新神戸へ高速バスで向かった。高速バスと言っても高速を走っているうちはいいが、一般道に降りると、日曜で桜の時期ともぶつかり、至る所渋滞。結局20分遅れ。新幹線には余裕があったが都会のバスは計画を立てる上で要注意である。新神戸から新大阪を経て和歌山に行った。
 ここ和歌山は前回友ヶ島に行くつもりが船が欠航で友ヶ島灯台を断念したところ。この日も穏やかに晴れた暖かい日であったが、午前中のみ運行で午後は欠航となっていた。明日はどうなるのか不安が過る。ただし、再び欠航となれば大阪の旧堺灯台、大阪灯台を回るプランBを用意した。いつも旅行中は髭を剃らないのだが、その夜はゲンを担いで髭を剃った。

23.04.03友ヶ島灯台

23.034.03友ヶ島灯台

23.04.03旧第2砲台跡

23.04.03旧第3砲台跡

 加太(かだ)港の汽船の第1便は9:00発である。ホテルで食事を摂り和歌山を7:16に出た。まだ運行予定が出ない、気に掛かるのは和歌山県南部に強風波浪警報が出ている。紀伊本線、南海線を乗り継ぎ、加太に着く。この頃やっと今日の運行がネットに出た。「現在風が少し強いので運航見合わせ中、ただし整理券は8:30より配布」。さて困った。加太まで行って待った挙句欠航となると時間がロスが大きい。かといってなかなか再訪も難しい。港には白波が建っているわけでもなく、街中はこんなに穏やかなのに、今日運行しなければ一体いつ運行するのかと恨み節。状況は回復傾向だろうと判断し、とにかく加太に行くことにした。港では8:30から「まだ運行決定ではない、10:30までに決定する。」と言いながら予約券を配布し始めた。ゆうに2時間はあるが、近くに飲食ができる店もない。仕方なく、加太の海を眺め時間を過ごした。結局第2便の11:00発から運行することになり、しかもこの時間には予約は満席。こちらの予定は友ヶ島で4時間とってあったので、これが2時間になる計算。少々忙しくなったので、最低でも灯台と第3砲台跡を目指して船に乗った。
 11:20着。ガイドにあるハイキングモデルコース/名所探訪コース(3.3km、休憩を含め約3時間コース)を歩いた。ただ、ゆっくり休憩している時間はない。個人的に思う灯台の良しあしを決めるポイントの一つは、灯台を美しく見せるビューポイントがあるかないかである。それには少し離れた場所から全体像を見ることができる必要がある。灯台を真下から眺めても感動は少ない。
 灯台を見た後、第3砲台跡まで行った。ハイキングと言うだけあって、結構汗が出る。ここは「天空の城ラピュタ」を思わせる戦時の遺構が今でも色濃く残っているて、不思議な世界を作り出している。桟橋には13:10に降りてきて、船を待ちながら昼食を摂り13:30の舟で島を離れた。その後新大阪に出て、東京には20:12に帰り着いた。

<後記>
前回心残りだった友ヶ島にも行けたし、思い入れのあった小豆島も歩けたし、多くの灯台も見ることができた。天気も良く気持ちの良い旅ができた。今度は瀬戸内の西部を回ってみたいと思う。