61. 道北の灯台

 平成24年(2012年)にツアーで利尻/礼文島に行った。当然往復飛行機である。その際は2日とも天気が良くなくあまり思い出はない。もちろんまだ灯台に興味はなかったから灯台の記憶はない。今回一番の灯台は室蘭にあるチキウ岬灯台、ここを中心に北の果て稚内に行き宗谷岬、ノシャップ岬、利尻島と、日本の灯台50選の3つを回る。大宮から稚内、実に北の最果てまでの10時間以上の列車旅である。まさに北海道縦断である。これではまるで「乗り鉄」マニアではないか。北海道の友人からも笑われそうである。トラブルもありしんどかったが、まずまずの北海道灯台旅となった。

散策日
令和6年(2024年)6月28日(金)ー7月2日(火)
所 感
今回回る灯台は比較的に観光地化されている場所が多く、これまで灯台でこれほど人を見たことはない。離れてはいるが交通の便もましな方で歩く距離も少ない。7月1日の札幌での友人との会食があるのが唯一の制約事項。苦労したのは宿で、特に稚内は高い。インバウンドの影響であろうか。一番行きたかったのはチキウ岬灯台でここでの観光は灯台がメインになっていた。
6月28日(金)大宮-(新幹線)-新函館北斗-(室蘭本線)-東室蘭-(タクシー)-<チキウ岬灯台>-(徒歩/バス)-母恋-(室蘭本線/千歳線/函館本線)-岩見沢(泊)13,538歩(8.1km)
6月29日(土)岩見沢-(函館本線/宗谷本線)-稚内-(バス)-<宗谷岬灯台-(バス)-稚内(泊)11,033歩(6.6km)
6月30日(日) 稚内-(タクシー/フェリー)-利尻島鴛泊港-(徒歩)-<鴛泊灯台-(徒歩)-鴛泊港-(フェリー)-稚内ー(バス)-<稚内灯台>-(バス)-南稚内(泊)22,424歩(13.4km)
7月1日(月) 南稚内-(宗谷本線)ー(札幌)-(函館本線)-小樽-(バス)-<日和山灯台>-(バス)-小樽-(函館本線)-札幌(泊) 16,240歩(9.7km)
7月2日(火)札幌-(千歳線/室蘭本線)-苫小牧-(バス)-<苫小牧灯台>-(バス)-苫小牧-(室蘭本線/新函館北斗)-新函館北斗-(新幹線)-大宮 13,544歩(8.1km)

24.06.28東室蘭駅

24.06.28チキウ岬灯台

24.06.28立ち入り禁止柵

24.06.28記念撮影用の窓

 西日本では大雨の予報だったが、北海道は少し外れていて助かった。大宮から東室蘭まで新幹線を使い約6時間。しかし東室蘭を前にポイント故障で約50分の遅れ、東室蘭からの1本しかない13:37発のバスには間に合わない。東室蘭は初めて下車したが赤い派手な駅舎が目を引く。東室蘭からタクシーを利用した。チキウ岬は店も出ていてそこそこ観光客もいた。灯台へは立ち入り禁止で近づけなかったが、海と灯台を眺める絶好の展望台がある。
 老夫婦が「まあ、綺麗。世界ではドンパチやっているのに我々だけこんな体験して申し訳ないわね」などという。「どちらからですか?」と尋ねてきたので「埼玉です」と答えると、「我々もそうです。春日部からだ。」という。   
 帰路は母恋(ぼこい)駅まで歩く(2.6km)つもりだったが、地球岬団地へ着くと折よくバスが停車していて利用した。東室蘭より母恋のほうが灯台への起点だったようだ。先ほどの老夫婦と母恋駅でもまた会い「お互い良い旅を」と言って別れた。今晩は東室蘭泊だという。私は札幌の宿を探したが週末のためか適当な宿がなく、今日は岩見沢に泊まる。ジパングパスは6枚の指定が取れるが、母恋から札幌までの「特急すずらん」は全車指定だったので稚内からの指定を切り替えた。6枚中5枚が全車指定席列車になった。

24.06.29特急宗谷から利尻富士

24.06.29最北駅の看板

24.06.29最北の碑

24.06.29宗谷岬灯台

 岩見沢から稚内まで特急で約5時間、草原やら林の中を抜けるがそれほそ見所はなくただ延々と列車は走る。稚内に近づくとやっと少し海が見えてきて、遠くにうっすらと利尻富士が見える。稚内では何事もすべて「日本最北端」であり、稚内駅もご多分に漏れず最北の駅。土曜でもあったが宗谷岬に行くバスは50分もかかり追加便を出す盛況さである。
 この宗谷岬は12年に利尻/礼文のツアーに参加した時来たことがあるが灯台には気が付かなかった。その時は灯台にまだ興味がなかったが、最北端の地の碑を見て振り返るとすぐそこに宗谷岬灯台が見える。
 稚内の宿はなぜかみな高い。このため駅から少し離れた宿をとったので、食事場所もなかろうと観光案内で辺りの食事処を聞き、先に夕食とした。どうしてか急に蕎麦が食べたくなり、蕎麦屋を探した。宿は天然温泉だったので文句もなかった。

24.06.30船上からの利尻富士

24.06.30ペシ岬の鴛泊灯台

24.06.30ペシ岬展望台

24.06.30鴛泊灯台

 宿からフェリーターミナルまで約2km。6時半でもタクシーが来てくれるのでタクシーを頼んだ。利尻島へは2回目だが鴛泊灯台は記憶がない。海上にぽつんとある利尻山1,721mはこれだけ風が吹けばいつも雲が湧き、ついに頂上までくっきりとは見えなかった。とにかく稚内は風が強い。
 鴛泊港からペシ岬に向かい歩く。ヘラさんのペンションの横を過ぎ途中ペシ岬展望台を経て灯台に着く。島には他にも灯台があるが、バスでは時間が掛かるので、諦めてここだけで島を出た。
 鴛泊港の近くにある食堂で聞くとウニ丼が1万円、ウナギくらいなら考えたが、これはインバウンド価格か。当然諦めてターミナルでそばを食った。

24.06.30稚内港北防波堤灯台

24.06.30稚内港東防波堤西灯台

24.06.30稚内港北副防波堤東灯台

24.06.30鴛泊港島防波堤東灯台

24.06.30フェリーから稚内灯台

24.06.30恵山泊漁港公園

24.06.30稚内灯台

24.06.30ノシャップ岬からの利尻山

 12年前の船はもっと小さかったような気がするが、今日の波高は3mでも左程揺れを感じない。稚内灯台の前を通る。改めて稚内駅からバスでノシャップ岬に行く。ここも店がそこそこあり、恵山泊漁港公園があり、多くの人がいた。
 稚内灯台は北海道で一番高い灯台で、国内でも2番目に高い。恵山泊港西防波堤灯台の横に利尻富士がうっすらと見える。
 帰り際近くの食堂で参考までにとウニ丼の価格を聞くと「もう今日の分はないけど、普通6千円」とか。宿は稚内は高いので南稚内にしたので、ノシャップ岬から稚内で降りずにそのまま南稚内まで行き投宿。ここも天然温泉でまずは疲れた体を休めた。

24.07.01小樽水族館

24.07.01小樽鰊御殿

24.07.01日和山灯台

24.07.01小樽港北副防波堤灯台

 翌日は朝から雨、南稚内から特急を乗り継ぎ小樽へ出た。小樽駅から小樽水族館行のバスに乗る。なんだか中国人が多いような気がする。こんな所までくるのか。
 一緒に降りた中年の男性が「あなた利尻で会いましたよね」と話しかけてきた。「私は水族館に興味がなく、岬巡りをしているですよ」という。道理で行動が似通っているわけだ。傘をさすほどではないが小雨の中岬の日和山灯台に向かう。ここは映画「喜びも悲しみも幾年月」でラストシーンとなった場所である。あのときの映像が蘇る。途中小樽鰊御殿があるがその壮大さには当時の栄華が偲ばれる。
 札幌に戻ると5時から旧友との飲み会がある。S倉氏、O川氏、T中氏と久し振りに楽しく歓談した。カラオケにもつき合わせてしまった。皆さん元気そうで何よりである。

24.07.02王子製紙の煙突

24.07.02苫小牧灯台

24.07.02苫小牧灯台

24.07.02新函館北斗駅の待ち人

 さて最終日である。苫小牧に降りると灯台に似た高い建築物が見える。苫小牧のシンボルである王子製紙の200m煙突である。煙突と灯台の魅力の違いが頭を過る。
 さすがにここまでは観光客の姿はなく、今回初めて一人での訪問となった。浜近くにあり絶景とはいかない。
 苫小牧に戻ると列車が30分遅れているという。これでは新函館北斗からのハヤブサに間に合わない。結局次の新幹線の指定の取り直しとなり、幸い次の列車までに時間もあり空席もあったので、帰宅が1時間以上遅れただけで済んだ。お陰で駅弁を買う時間はできた。往路といい復路といい同じ特急北斗で遅延が発生し、JR北海道さん、しっかりしてよと言いたいところである。

<後記>
 北海道にある日本の灯台50選の9か所のうち、残りは知床を除き道南の恵山岬灯台だけとなった。もう一回来なくてはならない。今回は2日目から持病のせいか、座りっぱなしだったためか、あるいはきつくサポータをしたせいか膝が痛くなった。幸い今回の日程は長距離の歩行がなかったので、そろりそろりと歩き通したがしんどかった。少し休養を取ろうと思う。